2013年6月
ヨウ素131を呼吸器で吸うことによる、小児甲状腺がんのリスク
2013年06月09日内部被ばくと健康被害 資料
2013年8月20日第12回福島県県民健康管理調査検討委員会は、福島県の小児甲状腺がんの患者が6人増え、18名になり、25人が疑いがある、と発表しました。 県民健康管理調査検討委員会は「いずれも生存率の高い甲状腺乳頭がんである」と発表、と報道しています。しかし、ベラルーシの例では子どもの甲状腺がんは非常に転移が早い場合があり、1991年頃に15名の子どもが命を失っています。 川根が書いた『ベラルーシ・プロジェクト報告』でも紹介したように、ベラルーシでチェルノブイリ事故以前に見られた小児甲状腺がんはすべて髄様がん(ずいよう)であり、チェルノブイリ事故以降、ベラルーシで爆発的に増えたのが甲状腺乳頭がんです。ベラルーシの医師は甲状腺乳頭がんは「放射性物質誘導がん」である、と説明してくれました。 •ベラルーシで多発しているのは「乳頭がん」です。 •乳頭がんが820件、92% •髄様がんが17件、1.9% •濾胞がんが17件、1.9% •未分化がんなどその他36件、4%で ー2008年の統計より 福島の子どもたちの小児甲状腺がんがすべて甲状腺乳頭がんであるならば、原発事故による放射性物質を体内に摂取したことによって引き起こされたと考えなくてはいけません。 そして、甲状腺エコー検査で結節やのう胞が見つかった場合、悪性かどうかの判断は穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)という、甲状腺にできた結節やのう胞に直接、注射針を差し込み、患部の細胞を採って顕微鏡で見て診断を確定します。 ある意味、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)をするということは甲状腺がんである可能性がかなり高いということです。 福島県はB判定やC判定の市町村別の人数を発表しています。これを見ると、リスクの高いB判定やC判定の子どもたちや、甲状腺がんおよび疑いと診断された子どもたちは原発に近い20km圏内および計画的避難準備区域だけではなく、原発から60kmも離れた福島市や郡山市の子どもたちも多いのです。原発からの距離ではなく、2011年3月、4月、5月などにヨウ素131などの放射能プルームを呼吸で吸ったことによる初期被ばくが決定的であったと思います。 7月31日段階でのB判定、C判定の人数はすでに1280名にも上り、二次検査後、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)を受けたのは203名にものぼりました。年内に50名を超える小児甲状腺がんの子どもたちが出る危険性も否定できません。 2013年6月5日に発表された第11回福島県県民健康管理調査検討委員会の発表も掲載します。 2013年11月8日、福島県および福島県立医科大学は、小児甲状腺超音波検査の二次結果集計に誤りがあったことを認め、訂正を出しました。第12回の県民健康管理調査検討委員会(2013年8月20日公表)に至っては、なんと71ヶ所に及ぶ訂正があります。 福島県および福島県立医科大学は、これは資料作成時の「数値の誤集計(計上漏れや誤計上)」、「データを分類する際の担当者の誤解等による誤り」が原因であるといいます。 特に大きな訂正は福島市の穿刺細胞診をした子どもの人数が2013年8月20日発表では67人だったのが、2013年11月8日では77人と10人も増えています。同様に西郷村の穿刺細胞診を受けた人数が1人から0人になっています。2013年8月20日発表の段階で、西郷村ではこの小児甲状腺がんおよび疑いが1人発見されています。この子どもの穿刺細胞診を行なわずに小児甲状腺がん疑いの判断をするいうことはありうるのでしょうか? 県民健康管理調査検討委員会の統計自身の信頼性に疑問が残ります。 そして、福島県原子力災害現地対策本部が発表した、2011年4月5日および6日時点での福島県小学校等の校庭に沈着したヨウ素131(ベクレル/m2)と空気1m3中のヨウ素131の量(ベクレル/m3)です。このような場所に、福島県の子どもたちや住民を住まわせていた、日本政府と福島県の責任は重大だと考えます。 福島県、宮城県、茨城県を始め、高い放射能プルームが襲った地域で、子どもも大人も甲状腺がんを発症する危険性があります。そのリスクを少しでも避けるために、子ども、妊婦、乳幼児を持つ親を始め、高放射能汚染地帯から、一刻も早く住民を避難させることを訴えます。 この赤や黄色で色塗られた、大地がヨウ素131で37万ベクレル/m2以上汚染された地域は、以下のベラルーシの黄色の地域に相当します。そこでの1990-2000年までベラルーシ全土で956名の小児甲状腺がんの患者が発症していますが、その行政区ごとの発症人数がその下の図です。明らかにヨウ素131の土壌沈着量が多かったところでの発症数が多いです。ゴメリの1つの地区では実に152名の小児甲状腺がんの子どもが出ています。 そして、全国で子どもを始め、大人も甲状腺エコー検査、心電図検査、血液検査を無償で実施すべきです。甲状腺エコー検査についてはベラルーシの例に学び、移動式超音波検診車を早急に準備し、稼働させるべきです。 以下は原発事故当時2011年4月5日や4月6日に福島県の小学校の校庭にどれくらいのヨウ素131があり、また、校庭の空気の中のちりにどれくらいのヨウ素131があったかを示す資料です。このような場所はただちに学校閉鎖し、子どもたちを安全な場所に避難させるべきでした。それを文科省は科学的な根拠もなく、国際放射線防護委員会(ICRP)が言っているからと20ミリシーベルトまでは安全と、空間線量だけで判断し、3.8マイクロシーベルト/時でも8時間を超えなければ安全と屋外活動をさせたのでした。 政府も福島県も各自治体も子どもたちの今後一生に渡る健康被害の責任を負う必要があります。 <福島県の小学校校庭のヨウ素131 土壌ベクレル/kgと土地ベクレル/m2> 川俣町立山木屋小学校 校庭 ヨウ素131 299,444ベクレル/kg→195万ベクレル/m2南相馬市立原町第一小学校 校庭 ヨウ素131 20400ベクレル/kg※→133万ベクレル/m2福島市立第一小学校 校庭 ヨウ素131 8193ベクレル/kg→53.3万ベクレル/m2二本松市立岳下小学校 校庭 ヨウ素131 6126ベクレル/kg→40.4万ベクレル/m2伊達市立保原小学校 校庭 ヨウ素131 5653ベクレル/kg→36.7万ベクレル/m2 ここまでは先のベラルーシのヨウ素131の汚染マップで黄色のレベルに相当します。 郡山市立金透小学校 校庭 ヨウ素131 3096ベクレル/kg→20.1万ベクレル/m2 <空気1m3中のダスト(ちり)中のヨウ素131> 小数点と欧米の記数法の三桁ごとのカンマとを見間違えていました。お詫びして訂正します。ただし、2011年4月5日や4月6日の時点で、空気中にヨウ素131が4ベクレル/m3や8ベクレル/m3あったということは異常な数値であることにはかわりはありません。2011年3月12日~3月15日、16日、3月20日前後の時点で、数千ベクレル/m3のプルームに襲われた地点あるが予想されます。初期被ばくをした子どもたちを直ちに汚染地帯から避難させるべきであると考えます。 2016年2月5日訂正 川根 眞也 川俣町立山木屋小学校 校庭 ヨウ素131 空気 ND ベクレル/m3 地表面湿潤南相馬市立原町第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 8.796ベクレル/m3福島市立第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 1.044ベクレル/m3二本松市立岳下小学校 校庭 ヨウ素131 空気 2.941ベクレル/m3伊達市立保原小学校 校庭 ヨウ素131 空気 ND ベクレル/m3 理由不明郡山市立金透小学校 校庭 ヨウ素131 空気 1.977ベクレル/m3田村市立船引小学校 校庭 ヨウ素131 空気 1.394ベクレル/m3南相馬市立原町第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 8.796ベクレル/m3浪江町立津島小学校 校庭 ヨウ素131 空気 2.610ベクレル/m3いわき市立平第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 4.041ベクレル/m3いわき市立勿来第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 4.713ベクレル/m3いわき市立四倉小学校 校庭 ヨウ素131 空気 4.664ベクレル/m3 <以下、赤字を削除します。2016年2月5日削除> 1m3中の空気に1000ベクレルを超えるヨウ素131がありました。これを吸って、甲状腺に放射性ヨウ素131がたまらないはずはないです。(削除)小児甲状腺がんのリスクが高まったのは2011年3月15日以降6月上旬まで原発からさかんにヨウ素131が出ていた時期に学校を行っていたことがもっとも問題です。 政府と文部科学省の責任は非常に重いです。 以下、「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方 に対する技術的助言を検討する際の打ち合わせに用いた資料について」(原子力安全委員会事務局 2011年4月18日p.22 および p.23)より。 上:福島県小学校等環境放射線土壌・ダストモニタリング時実施結果(土壌) 下:福島県小学校等環境放射線土壌・ダストモニタリング時実施結果(大気浮遊塵) <追記 2016年2月5日 川根 眞也> 文部科学省は2011年9月12日公表した、「文部科学省によるダストサンプリングの測定結果[Readings of dust sampling by MEXT]」の中で、2011年3月18日~4月26日の福島県各地の空気中のヨウ素131、セシウム134、セシウム137の濃度(ベクレル/m3)を発表しています。問題なのは、原発が爆発した2011年3月12日、14日、15日のデータが公表されていないことです。また、爆発直前にベントを行っていたり、格納容器や圧力抑制室が破損して放射性物質が放出されたりした時期のデータが公表されていません。文科省は2011年3月11日から17日までのデータを公表すべきです。 2011年3月20日以降のデータです。東京電力の社内基準によれば、200ベクレル/m3の放射性物質がある場合、全面マスクを着用することになっています。赤字が200ベクレル/m3を超える放射性物質があった地区です。ここでは、事故当時、全面マスクを着用する必要がありました。国と東京電力の責任は重大です。 <参考>東電の全面マスク着用の社内基準 pp.3 全面マスク着用基準(粒子状) 2E-4Bq/cm3 …200Bq/m3ということ(編集者:注)法令に定める放射線業務従事者の呼吸するダスト濃度限度(Cs-134)の1/10で設定) 出典:全面マスク着用を不要とするエリアの拡大に関する検討状況について 東京電力 20150207 文部科学省によるダストサンプリングの測定結果 2012年9月12日公表 【出典】文部科学省によるダストサンプリングの測定結果 2011年3月20日~5月31日 20120912 2011年3月20日の大気 福島県葛尾村上野川 ヨウ素131 4800ベクレル/m3(14:13~14:33) 福島県浪江町津島 ヨウ素131 1000ベクレル/m3(14:15~14:35) 福島県福島市方木田 ヨウ素131 203ベクレル/m3(18:30~18:50) 福島県飯舘村伊伊丹沢 ヨウ素131 270ベクレル/m3(13:20~13:40) 福島県田村市常葉町山根 ヨウ素131 900ベクレル/m3(14:13~14:30) 福島県田村市船引町船引 ヨウ素131 33.7ベクレル/m3(12:40~13:00) 福島県田村市小野町小野新町 ヨウ素131 24.0ベクレル/m3(13:57~14:17) 2011年3月21日の大気 福島県広野町下北迫 ヨウ素131 5800ベクレル/m3(13:00~13:40) 3700ベクレル/m3(13:50~14:32) 福島県いわき市平 ヨウ素131 28.9ベクレル/m3(15:00~15:20) 2011年3月22日 福島県広野町下北迫 ヨウ素131 1100ベクレル/m3(14:55~15:34) 570ベクレル/m3(15:50~16:30) 福島県いわき市平 ヨウ素131 17.0ベクレル/m3(14:00~14:20) 2011年3月23日 福島県広野町下北迫 ヨウ素131 530ベクレル/m3(13:15~13:58) 180ベクレル/m3(14:30~15:10) 110ベクレル/m3(15:20~15:59) 2011年3月24日 福島県南相馬市原町区高見町 ヨウ素131 193ベクレル/m3(14:55~15:15) 2011年3月25日 福島県川俣町山木屋 ヨウ素131 555ベクレル/m3(15:02~15:22) 福島県飯舘村長泥 ヨウ素131 440ベクレル/m3(13:28~13:50) 330ベクレル/m3(14:28~14:50) 福島県田村市船引町船引 ヨウ素131 37.0ベクレル/m3(13:33~13:53) 290ベクレル/m3(15:28~15:49) 福島県いわき市平 ヨウ素131 40.6ベクレル/m3(14:00~14:20) 福島県伊達市月舘町 ヨウ素131 34.0ベクレル/m3(16:13~16:33) 福島県新地町 ヨウ素131 33.6ベクレル/m3(16:25~16:45) 2011年3月29日 福島県南相馬市原町区高見町 ヨウ素131 63.4ベクレル/m3(13:30~13:50) 2011年3月30日 福島県川俣町山木屋 ヨウ素131 180ベクレル/m3(15:11~15:32) 2011年4月2日 福島県いわき市平 ヨウ素131 47.3ベクレル/m3(12:02~12:22) 2011年4月7日 福島県南相馬市原町区高見町 ヨウ素131 35.9ベクレル/m3(12:46~13:06)
FB震災のあとさん 2013.3.20 福島県飯舘村 「大変なことが起こっているよ」
2013年06月03日内部被ばくと健康被害 資料
【細川さんから皆さんへのお願い】 細川さんは、これまで人に迷惑がかかるからと馬の異常をほとんど他言してきませんでした。ですが、異常がエスカレートしていくなか、お彼岸が過ぎたことを機会に公表することにしたそうです。 ご本人の希望により、細川さんの置かれている状況、名前、住所、電話番号を公表いたします。関心のある方は連絡下さい、とのことです。 特に獣医畜産の関係者や放射能関係の専門家はぜひ細川牧場を訪れて、本格的な調査を検討していただけませんか。細川さんからのお願いです。 細川牧場 細川徳栄さん 福島県相馬群飯舘村臼石字町123-1 090-9742-3141 FB「震災のあと」さん 2013.3.20 福島県飯舘村 「大変なことが起こっているよ」 更新情報はこちらから 震災のあとAFTER 3.11 山津見神社の鳥居から険しい参道を750mほど登ると本殿があり、豊かな自然に恵まれた美しい飯舘村が一望できました。とあるTV番組が発端で山津見神社が放射線を食い止めたという噂がたったのですが、神社の方にうかがうとまったくのガセネタ。「あー、それですか」と一笑に付されてしまいました。村を神社が守ってくれたなどという美談にでもしたかったのかもしれません。 あいにくの曇り空でしたが、映画にでも出てきそうな美しい村に震災以前は6000人の人が暮らしていたそうです。しかし、今は数えるほど。放射能の影響で全村避難を強いられていますが、この村にたった1人牧場に残り馬の世話を続けている人がいました。細川徳栄さん、飯舘村で3代続く家畜商の方です。 細川さんは会うなり「この国は狂ってる。大変なことが起こってるよ」と切り出すと、挨拶も早々に牧場へと案内してくれました。この数週間で馬がバタバタと倒れはじめたんだそうです。牧場には32頭の馬がいましたが、そのうちの4頭はヨロヨロと腰が立たない状態で、一番症状がヒドい白いミニチュアホースは毛並みもボロボロ。同行した獣医さんの診察では目に黄疸症状が出ていて、原因は不明ですが肝臓をやられているようでした。何より膝がガクガクと崩れることを不思議がっていました。細川さんは「こいつはもう今月もたないと思うんだ。かわいそうに」と言いながら横たわる馬を撫でていました。牧場の脇を野生の猪が突っ切っていきました。 今年に入って15頭の馬が生まれたものの、14頭は1週間から1ヶ月足らずで亡くなったそうです。「小さい頃から馬と暮らしてきたけれど、こんなことは初めてだ。異常だよ。それもこれも放射能だと思うんだ」と細川さんは放射能の影響を強調していました。もちろん科学的な根拠はありません。長年、馬と触れ合ってきた感覚なんだと思います。 これまで避難区域で亡くなっていった牛たちのことは報道でも伝えられていましたが、その多くは餌を与える人がいなくなったことでの栄養失調が原因でした。この牧場の馬たちは十分ではないでしょうが餌は与えられています。症状が出ていない馬たちは決してやせ細ってもなく、食欲もあるように見えました。後日、保健所にお願いし血液検査を行ったところ、結果は伝染病でも栄養失調でもないことは断定されました。ですが、放射能の影響が懸念される白血病という判断もでませんでした。もっと詳しい検査をしないと衰弱の原因はわからないそうです。 先日、飯舘村を含めた福島原発周辺で動植物の異常が相次いでいるという4人の研修者の調査結果が東京大学で報告されました。ですが、子どもが甲状腺癌になっても放射能の影響はないとする現在の基準では、馬の異変を放射能の影響と断定するのは難しいでしょう。仮にそうでも影響があるから避難地域なのだと言ってしまえばそれまでです。でも、生き物が異常な状態で亡くなれば話の次元は変わると思います。この馬たちにいったい何が起こっているのか。 細川さんは牧場を経営しながら、「花塚ボランテイア活動」の会長を務め、これまでさまざまな機会に馬を提供してきました。東京の神田明神、相馬野馬追など数多くの有名な神事イベントや、水戸黄門、暴れん坊将軍、大河ドラマなどにも主人公を乗せた細川さんの馬が登場しています。各地の小学校や盲人施設でのホースセラピーにも積極的に貢献してきました。 震災後、一度は避難したものの家族同然の馬や牛たちを見捨てられず、奥さんと娘さんを残してすぐに村に戻ったそうです。家畜商の仲間たちに頼まれて、自分の牧場以外の牛や馬までトラックで助けにいき、以来、まさにたった1人で戦い続けています。馬たちを他の地域に避難させたいと村や東電に訴えて来ましたが、受け入れ先がないと断られ仕方なく村に1人残り世話を続け、それどころかこれまで自ら全国の伝手をたどって、なんとか引き取ってもらった87頭の補償に対する賠償請求も「飼育していた証拠がない」と東電から突っぱねられている。 「本当はもう限界だよ。だけど、今まで先祖代々自分たちを助けてくれた馬たちを置いていけない。処分なんてできるわけもない。俺は馬と一緒にここで死んだっていいんだ」細川さんは、周りの説得も無視して健康診断もホールボディカウンターの検査も拒否しています。細川さんにとって、その結果がどうあれ、今やるべきことは馬への恩返ししかないのだと思います。 牧場には1ヶ月ほど前に亡くなった馬の亡骸が、鳥や狐などに食べられ骨と皮だけになったまま放置されていました。「違法なんだけど馬が死んでいった証拠を東電に見てもらうために残しているんだ。本当は埋葬したいんだけどね」 特に症状の重かった白いミニチュアホースは細川さんが言っていた通り、一週間後の3月末に亡くなりました。亡くなるとすぐにカラスが目玉をくり抜いていったそうです。僕らは鬼気迫る細川さんにただただ圧倒され、想像以上にシリアスな状況を前に呆然としてしまいました。けれど何かが押し迫っていることは確かだとは思いました。 「この国は狂ってる。この先も大変なことが起こるよ」細川さんは、誰に言うともなく、そう何度も何度もつぶやいていました。 4月1日。山津見神社が全焼しました。住宅部分から女性の遺体が見つかったそうです。 文:小林通孝/写真:中村治 【細川さんから皆さんへのお願い】細川さんは、これまで人に迷惑がかかるからと馬の異常をほとんど他言してきませんでした。ですが、異常がエスカレートしていくなか、お彼岸が過ぎたことを機会に公表することにしたそうです。ご本人の希望により、細川さんの置かれている状況、名前、住所、電話番号を公表いたします。関心のある方は連絡下さい、とのことです。特に獣医畜産の関係者や放射能関係の専門家はぜひ細川牧場を訪れて、本格的な調査を検討していただけませんか。細川さんからのお願いです。 細川牧場 細川徳栄さん福島県相馬群飯舘村臼石字町123-1090-9742-3141 英語版はこちらをご覧ください(World Newtwork For Saving Children From Radiation)http://www.save-children-from-radiation.org/2013/05/05/something-serious-is-going-on-horse-ranch-owner-worries-alarming-conditions-of-horses-in-iitate-fukushima/ 細川徳栄(家畜商・60歳) 1ヶ月ほど前に亡くなった馬の亡骸。鳥や狐、野犬に食べられ骨と皮だけになっていた。 ほとんど歩くこともできなくなっていた白いミニチュアホース。 横たわる馬に寄り添う細川さん。この馬は1週間後に亡くなった。 山津見神社本殿からは美しい飯舘村が一望できる。
文科省 ストロンチウム90土壌汚染マップ ベクレル/m2 2012年9月20日
2013年06月02日ストロンチウム汚染 内部被ばくと健康被害 資料
文科省がストロンチウム89、90について、第1次土壌調査 100か所、第2次土壌調査 60か所を行った。 しかし、この第2次土壌調査 60か所は、セシウム137の蓄積量が多かった地域に限定されている。セシウム137とストロンチウム90とは環境中でまったく別の振る舞いをするのであり、日本全域についてストロンチウム90の土壌調査を行うべきである。ストロンチウム90はガンマ線を出さず、ベータ線しか出さない。文科省の航空機モニタリング(ガンマ線のみで地表のヨウ素131、セシウム134、137濃度を分析)ではまったくわからなかった、ストロンチウム90の汚染地帯があるかもしれない。 ○土壌採取日:第1 期 2011年6 月6 日~6 月14 日、第2 期2011年6 月27 日~7 月8 日 第2次土壌調査では、「広範な地域における福島第一原発の事故由来のストロンチウム89、90 の拡散範囲を確認するため、東日本の空間線量率が高い地域を中心に新たに土壌を採取し、ストロンチウム89、90 の沈着量を測定する」とともに「第1 次分布状況調査においてセシウム137 に比べてストロンチウム89、90 の沈着量が大きいことが確認された調査箇所の周辺の調査箇所で第1 次分布状況調査時に採取された土壌試料を用いて、ストロンチウム89、90 の沈着量を測定」 ※ 第2次調査(1)福島第一原発から80 ㎞圏外の地域の調査箇所(50 箇所:50 試料) 第1 次分布状況調査で調査対象とした福島第一原発から80 ㎞圏内を除き、東日本全域における航空機モニタリングの測定結果(空間線量率)において、空間線量率が高い地域(0.2μSv/h 相当以上)で新たに土壌試料を採取※6 し、ストロンチウム89、90 の沈着量を測定した。なお、調査箇所の選定にあたっては、空間線量率が0.2μSv/h 以上の地域について5km メッシュに分割し、このメッシュの中から、地域に偏り無く、調査箇所(50 箇所:50 試料)を選定した。1 都9 県(福島県、茨城県、岩手県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、栃木県、宮城県、山梨県)の一部の地域で実施。天然核種の影響により空間線量率が高くなっている地域を除く。 (2)相馬市及びその周辺の調査箇所(10 箇所:13 試料) 第1 次分布状況調査では、相馬市で採取された土壌試料のうち1 箇所の試料において、セシウム137 に対するストロンチウム89、90 の沈着量の比率(以下、「Sr-89、Sr90/Cs-137」と言う。)が、他の箇所に比べて非常に大きいことが確認された。 そこで、今回の調査では、この箇所(以下「相馬市第1地点」という。)において第1次分布状況調査の際に採取した試料の残り4 試料を全て分析するとともに、この箇所の周辺9 箇所のそれぞれにおいて、第1 次分布状況調査の際に採取した土壌試料のうち、セシウム137 の沈着量が最も高い1 試料を選定し、ストロンチウム89 及び90 の分析を行った。 ○土壌採取日:2011 年12 月17 日~2012年2 月29 日 ○各調査箇所のストロンチウム89、90 の沈着量を調査における土壌採取期間(平成23 年12 月17 日~平成24 年2 [...]
子どもの健康被害 放射性セシウム1.1ベクレル/kgから 2013年5月26日お父さん授業
2013年06月02日内部被ばくと健康被害
2013年5月26日開催された、『お父さんのための真面目な放射能の授業 in 横浜鶴見』の講演スライドです。 子どもの健康被害は1.1ベクレル/kgから 20130526
東京第一原発からもう放射能は出ていないの? 2013年5月26日お父さん授業
2013年06月02日内部被ばくと健康被害 資料
2013年5月26日開催された、『お父さんのための真面目な放射能の授業 in 横浜鶴見』の講演スライドです。 もう原発から放射能は出ていないの? 20130526
ベラルーシ訪問・報告会 in 千葉・市川 6月29日(土) 14:00 川根眞也さん
2013年05月24日講演会
[ 2013年6月29日; 2:00 PM to 4:30 PM. ] チェルノブイリの今を私たちの未来とさせないためにベラルーシ訪問・報告会 6月29日(土) 14:00~ 市川教育会館3FホールJR本八幡駅南口 徒歩7分【報告】内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也さん 放射能被害から命を守れ! 希望する全ての人に放射能健康診断を! 上の図は、チェルノブイリ原発事故後のベラルーシ共和国の各自治体における小児甲状腺がん発生数を示しています(内部被ばくを考える市民研究会ホームページから引用)。なんと953人です。原発近辺に集中的に、そして東西・南北に各400kmの国土で広く発症が見られます。原発福島第一原発から市川は約220kmです。チェルノブイリの今を私たちの未来とさせないために、一刻も早く希望する全ての人への放射能健康診断と医療補償が必要です。ベラルーシ報告会にぜひご参加ください。 ベラルーシ報告会のご案内(内部被ばくを考える市民研究会・ホームページより) 内部被ばくを考える市民研究会 代表 川根が2013年3月17日から3月23日、7日間、ベラルーシに行ってまいりました。ベラルーシはチェルノブイリ原発の北部に広がる国で、1986年チェルノブイリ原発事故が起きた当時、7割の放射性物質がベラルーシに落ちたと言われる国です。 1990年ー2000年の11年間で953名の小児甲状腺がん患者がベラルーシ全土で発生しました。特に急激に小児甲状腺がん患者が生まれたのは、高濃度放射能汚染地帯ゴメリ州です。原発事故以前の小児甲状腺がんの発症は、原発事故前はベラルーシ全国で年間0~2人だったにはかかわらず、原発事故後10年たったとき、事故後10年たった1995年、ゴメリ州だけ(国土の6分の1程度の大きさの州)で63名の子どもが発症しています。(山下俊一氏 被爆体験を踏まえた我が国の役割-唯一の原子爆弾被災医科大学からの国際被ばく者医療協力- 2000年2月29日より) これは日本の未来を予見しているのではないでしょうか? ベラルーシでは驚くほど低い線量で、住民の強制移住や計画的移住、農作物の採取禁止措置が採られています。日本政府は高濃度放射能汚染地帯でなんら法的な規制もなく住民を住み続けさせ、さらに東京電力福島第一原子力発電所の30㎞圏内に住民を帰還させるなど、旧ソ連では考えられない政策を実行しています。 ベラルーシの高濃度放射能汚染地帯ゴメリ州、ミンスク市でのベラルーシ医学アカデミーの医師向け研修、現在大人の甲状腺がんが多発しているブレスト州への訪問を報告します。 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)・千葉 [連絡先] 斎藤:090-8442-1275 ベラルーシ報告会 川根 千葉・市川 20130629
チェルノブイリ事故から27年 ベラルーシにおける小児甲状腺がんの診断と治療 ― これから日本でどんな事が起きるか? 6月5日(水) 19時たんぽぽ舎
2013年05月15日講演会
[ 2013年6月5日; 7:00 PM to 9:00 PM. ] チェルノブイリ事故から27年 ベラルーシにおける小児甲状腺がんの診断と治療 ― これから日本でどんな事が起きるか? 講師:川根眞也さん内部被ばくを考える市民研究会、公立中学校理科教員 ”ベラルーシ共和国ゴメリ州、ミンスク市、ブレスト州を訪問”川根さんは、2013年3月、ベラルーシを訪れ、高放射能汚染地帯ゴメリ州の小児甲状腺がんの発症状況と被害者からの聞き取り、 ゴメリ州の廃村になった村の線量を測定、ベラルーシ医学アカデミーの医師の研修を受けてきました。放射線誘発ガン、小児甲状腺がんについてなど、豊富なデータを基にお話されます。福島県のみならず、宮城県、茨城県、岩手県、栃木県、群馬県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県などに住民がこのまま住み続ければ健康被害にあう市町村があるはずです。川根さんと一緒にベラルーシを訪問した医師たちは帰国後「県境なき医師団」を作りました。日本のこどもたちのために私たちがいまやらなくてはならないことを一緒に考えましょう。 6月5日(水曜日)19時00分(開場18時30分)会場:スペースたんぽぽ参加費:800円(学生400円) たんぽぽ舎 JR水道橋西口徒歩5分〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2 ダイナミックビル4F Tel: 03-3238-9035 Fax: 03-3238-0797 Email: nonukes@tanpoposya.net HP address: http://www.tanpoposya.net/ 会場案内