日立の東原社長 原発事業の再編に意欲

2019年5月10日 日本経済新聞

 日立の東原社長は「トップとして市場にもっとアピールしないといけない」と語る。

 日立製作所の東原敏昭社長は2019年5月10日、日本経済新聞の取材に応じ、国内の原子力発電事業について「単独で事業を進める必要はない」と語った。2018年夏から東京電力ホールディングスなど3社と提携協議を進めており、他社との再編に意欲を示した。主なやり取りは以下の通り。

――国内での原発事業の再編にどのように取り組みますか。

「東日本大震災以降、原発に関する国民的な議論は進んでいない。二酸化炭素(CO2)排出問題や、エネルギーの需給バランスなどの点から考えても、風力や火力発電だけでは不十分で原発が必要だ。日立は原発メーカーの立場だが、単独で事業を進める必要はないと考えている」

――欧米の同業大手に比べて日立の時価総額は低いです。

「過去には業績の下方修正を何度もしたことがあったが(18年度までの)中計では目標に掲げた営業利益率8%を達成できた。投資家の見方も変わるだろう。トップとして投資家の信頼を得られるように市場にもっとアピールしていかないといけない」

――営業利益率10%を達成するために何が必要ですか。

「グローバル企業のやり方をもっと学ぶ必要がある。(スイスの重電大手)ABBの電力システム事業の買収はそのためでもある。従来のようなトップダウンでは限界がある。社員の意識を変えていくことが目標達成に欠かせない」