[解説]

 「放射線ニコニコしている人には影響はありません。」と福島市で講演した、山下俊一氏。同じ日、同じ福島市県庁に置かれていた、オフサイトセンターでの打ち合わせで「福島県民の子どもの甲状腺被ばくは深刻な可能性がある」と語っていました。東京新聞が、独自の情報公開請求で明らかにしました。

 川根はこれから山下俊一氏を「だました俊一」と呼びたい、と思います。

 その「だました俊一」氏は、2019年5月7日、千葉県千葉市に置かれた、高度被ばく医療センター長に就任しました。あり得ない人事です。

 福島県民をだました、山下俊一氏は、すべての公職から追放するべきである、と考えます。

震災後「放射線ニコニコしている人に影響ない」 山下・長崎大教授「深刻な可能性」見解記録

2019年1月28日 東京新聞 朝刊1面

山下俊一氏

 東京電力福島第一原発事故の直後、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一・長崎大教授が子どもの甲状腺被ばくについて「深刻な可能性がある」との見解を示したと、国の研究機関「放射線医学総合研究所」(放医研、千葉市)の文書に記されていたことが分かった。国の現地派遣要員らが集う「オフサイトセンター(OFC)」にいた放医研職員の保田浩志氏が書き残していた。 (榊原崇仁)

 山下氏は二〇一一年三月二十一日の午後二時から、福島市内であった講演で「心配いらないと断定する」「放射線の影響はニコニコ笑っている人には来ません」と発言していたことが知られている。保田氏によると、この日の昼、県庁内のOFCで山下氏と面会。その結果は放医研内部の連絡のため、同日夜に記録していた。これらに従えば、「深刻」発言は「ニコニコ」の講演と同じ日にあったことになる。

 本紙は保田氏の記録の写しを情報開示請求で入手した。それによると「長崎大の山下俊一教授がOFCに来られ、総括班長(経産省)&立崎班長とともに話をうかがいました。山下先生も小児の甲状腺被ばくは深刻なレベルに達する可能性があるとの見解です」と記されていた。立崎班長はOFCの医療班長だった放医研職員の立崎英夫氏。OFCは事故直後の同月十五日に福島県大熊町から県庁へ移転。山下氏の講演会場から徒歩五分の距離だった。

 山下氏は取材に書面で回答。保田氏との面会を認めたうえで「原発事故直後の避難指示区域内の被ばく、特に、放射性ヨウ素の子どもへの影響は最も考慮しなくてはならないとの見解を示したのみ」とした。

 「ニコニコ」などと語った講演については「福島市民への説明。新たな爆発も起きておらず、原発から離れた福島市で深刻な状況は想定されなかった」と説明。避難指示区域内と、区域外の福島市の違いにより、見解が異なったとした。講演があった二十一日時点の避難指示区域は、原発から二十キロ圏内だった。

 福島県のアドバイザーは放射線と健康に関する正しい知識を住民に提供する役職。甲状腺内分泌学が専門の山下氏は同月十九日に委嘱されていた。保田氏はこの後、国連科学委員会の事務局員となり、原発被災者の被ばく線量をまとめた二〇一三年報告書の作成に携わった。現在は広島大教授。

被ばく医療の司令塔発足

千葉の量研機構

2019年5月7日  佐賀新聞

量子科学技術研究開発機構内で開かれた、高度被ばく医療センターの発足式=7日午後、千葉市

 東京電力福島第1原発事故を教訓に国が強化した被ばく医療体制で、人材育成などを担う「基幹施設」に指定された量子科学技術研究開発機構は7日、千葉市の同機構内で「高度被ばく医療センター」の発足式を開いた。同機構は被ばく医療での司令塔となり、原子力災害が発生した場合には、強い放射線を浴びた患者の診察も行う。

 発足式には、医師や看護師ら25人が出席。センター長に就任した山下俊一・福島県立医大副学長は、第1原発事故で多くの住民が被ばくした際に、対応する医療従事者が不足したことに関連し、「国内外の専門家と協力し、人材育成と社会貢献に努める」と述べた。

 同機構によると、センターの関連部署や職員約70人は、機構に属している放射線医学総合研究所から集約。患者を受け入れて治療方針を決める被ばく医療部、国内外の被ばく事故現場に医師らを派遣する放射線緊急事態対応部、被ばく線量の推定に関する基礎研究をする計測・線量評価部などに分かれている。

 国が強化した被ばく医療体制では、同機構のほか、弘前大(青森県)福島県立医大(福島市)広島大(広島市)長崎大(長崎市)の全国計5カ所を被ばく患者の治療に当たる「高度被ばく医療支援センター」に指定し、うち一つの基幹施設が同センターの医師や看護師、技術者らを育成する。