廃炉訴え、断食へ 小浜の中嶌哲演さん、きょうから /福井

毎日新聞 2019年2月27日 福井版

 40年超の運転が認められた関西電力の高浜原発1、2号機(高浜町)と美浜原発3号機(美浜町)の廃炉を求め、小浜市の明通寺で住職を担う中嶌哲演さん(77)が26日、断食を始める。例外的に認められた運転延長に、非暴力による不服従の姿勢を示す。関電の原発は主な電力供給先を関西圏としており、中嶌さんは「老朽原発再稼働の理不尽さを、都市部の人たちにも伝えたい」と話している。

 中嶌さんの断食は、原発を増設する動きがあった1977年に県庁前などで1週間決行したのが初めて。7回目の今回は、昨年3月に立憲民主などの野党が共同提案した「原発ゼロ基本法案」の早期審議入りも呼びかける考えで、3月4日までを一つの目標とする。期間中は神戸でエネルギー政策の転換を考える会議に参加するほか、名古屋では原発訴訟の弁護団との意見交換にも臨む。

 関電は40年超の運転を目指し、3基で実施してきた安全対策工事の完了が6~9カ月遅れる見通しを発表している。これについて、県庁で25日記者会見した中嶌さんは「今から反対の声を上げないと、他の原発も雪崩式に40年超の運転が認められてしまう恐れがある」と述べ、断食に入る決意を強くしていた。

「原発延命」断食で反対 中嶌さん、工事中止求め

2019年3月1日 福井新聞
 
 
40年超運転に向けた対策工事の中止などを求め断食すると発表する中嶌氏=25日、県庁

 

40年超運転に向けた対策工事の中止などを求め断食すると発表する中嶌氏=25日、県庁

 原発反対県民会議の中嶌哲演代表委員(77)=写真=は2月26日、原則40年の運転を延長し再稼働を目指す関西電力高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の安全対策工事の中止などを求め断食を始めた。27、28日は上京し国会議員らに訴えた。 県庁で25日に会見した中嶌氏は「延命工事は安全面、経営面でもリスク。原発の恩恵を受けている関西地域などでアピールしたい」と強調した。対策工事中止のほか、立憲民主、共産、自由、社民の野党4党が2018年に衆院に共同提出した「原発ゼロ基本法案」の審議開始を求めるとしている。 3月4日には、大阪市の関電本店に申し入れる予定。中嶌氏は「工期が延長されたこのタイミングで声を上げたい。断食終了は未定」とした。
(牧野将寛)

原発ゼロ社会訴える 福井 トーク集会やデモ行進

 2019年3月1日 福井新聞 

 関西電力高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の安全対策工事中止と、「原発ゼロ基本法案」の審議開始を求め、2月26日から12日間にわたり断食を続ける中嶌哲演さん(77)も登壇。「断食で目的が実現したわけではないが、その緒に就いたと信じたい。福島の惨禍を断じて繰り返してはならない」と述べた。断食はこの日(2019年3月9日)終了した。

【中嶌哲演(なかじま てつえん)師略歴】
福井県小浜市・真言宗御室派明通寺住職。1942年小浜市出身。高野山大学仏教学科卒業。在学中より広島の被爆者支援を開始。1994年の被爆者援護法制定まで26年間、被爆者支援を目的に毎月6日と9日に明通寺周辺3集落(約80戸)で托鉢を続けた。1968年に小浜市に原発4基の建設・誘致の計画が持ち上がり、1969年に地元漁協による「内外海原発設置反対推進協議会」の活動が始まる中で、1971年暮れに同協議会の後継組織「原発設置反対小浜市民の会」を結成、事務局長を務める。以来、反原発市民運動を展開している。1988年、ビデオ『牛乳が飲みたい:原発・勇気ある撤退』(河出書房新社)に出演。1993年、「原子力行政を問い直す宗教者の会」結成に参加。2012年3月25日-31日、大飯原発再稼動に反対して断食行を実施。著書『原発銀座・若狭から』(光雲社)、『いのちか原発か』(風媒社)など。

2018年5月22日 脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山 の脱原発結集No.19のチラシの写真