<解説>

 関西電力高浜3号機は、高浜4号機、四国電力伊方3号機、九州電力玄海3号機、日本原電東海第二と並び、プルトニウムを強化したMOX燃料を使用しています。この高浜3号機のメルトダウンと放射性物質の放出が起こった場合、東電福島第一3号機と同様な深刻なプルトニウム汚染を引き起こします。高浜3号機は2018年8月3日から定期点検に入りましたが、次々にトラブル、作業員も高線量被ばくをしました。高浜3号機は本当に大丈夫なのでしょうか?

 2018年9月28日、高浜4号機は再稼動工程(5号検査と言います)を終え、営業運転に入りました。2018年8月20日に放射能を含む蒸気漏れの事故を起こしたにもかかわらず。

■高浜3号機が定期検査入り 3カ月を予定

福井新聞 2018年8月4日

 

 関西電力は3日、高浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット)の発電機と送電設備を切り離し、定期検査に入った。発電した電気を昇圧し送電する主変圧器を初めて交換するほか、2次系配管577カ所を超音波で肉厚測定するなど約60項目を確認する。定検は約3カ月の予定。

 高浜3号機は、2017年6月に原子炉を起動し、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電を行っていた。

 関電は3日午前4時4分から出力を下げ始め、同11時4分に発電機と送電系統を切り離した。原子炉に制御棒を挿入して、同日午後2時12分に停止した。

 定検は協力会社社員ら約2500人態勢で行う。過去の点検で減肉傾向が確認されるなどした25カ所を、耐食性に優れたステンレス鋼配管に交換。燃料集合体157体のうち、新しいMOX燃料4体を含む69体を取り換える。

 国の検査を経て11月上旬に原子炉を起動し、同9日に発電・送電を開始。12月7日の営業運転再開を目指す。

 高浜3号機の定検入りで、県内では現在大飯3、4号機の2基が営業運転中となった。定検中の高浜4号機は24日の発電・送電開始の2、3日前に原子炉を起動。9月19日に営業運転を再開する見込み。(牧野将寛)

■蒸気発生器内異物、酸化鉄微粒子の塊 高浜3号、関電が確認

福井新聞 2018年9月21日

 関西電力から20日、県に入った連絡によると、定期検査中の高浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット)の蒸気発生器内で見つかった異物について、2次系配管に含まれる酸化鉄の微粒子の塊と確認した。細管の外側を減肉させたとみられる金属片は見つからなかった。

 関電は異物を回収した際、小型カメラで細管の外観を点検したところ、長さ約4・5ミリ、幅約2・5ミリの摩耗痕を確認した。

 県原子力安全対策課は、「微粒子の塊はもろく、細管を減肉させたとは考えられない」と強調。細管の強度から、ステンレス鋼などの金属片が2016年12月から行った第22回定検で混入し、細管を削ったと推定した。ただ、蒸気発生器や中に入っていた水を抜いた際にためるタンクなどを確認したが、金属片は見つからなかった。

 対策として、減肉した細管は施栓する。2次系系統の弁などの分解点検時に使用する機材や作業員の衣服などに異物の付着がないことを確認することを、作業手順書に追記する。(牧野将寛)

■蒸気発生器内に異物 高浜3号 細管1本が減肉

福井新聞 2018年9月13日
 

 関西電力から12日、県に入った連絡によると、定期検査中の高浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット)の蒸気発生器の細管1本と支持板の間に、長さ1センチ程度の異物を確認した。材質は不明。環境への放射能の影響はない。

 関電は8月18日から、3台ある蒸気発生器の細管計9784本に傷がないか調べるため、高周波電流を流す検査を実施した。このうち細管1本の外側が減肉していることを示す信号が出たため、小型カメラで確認したところ異物を見つけた。

 細管の外側は2次冷却水が流れている。この異物が細管を削ったとみて今後、異物を取り出し分析するほか、混入した原因などを調べる。

 県原子力安全対策課は「2012年2月から行った第21回定検で混入した可能性がある。減肉は技術基準未満だが、予防的に施栓する予定」としている。

 別の細管1本では、内側に長さ約4・8ミリのひび割れが見つかった。高温(約320度)の1次冷却水が入る部分。細管の厚さは約1・3ミリあるが、貫通はしていない。応力腐食割れとみられる。この細管も施栓する予定。

 高浜3号機の細管の施栓数は全体の3・6%で、計364本となる。施栓率は10%までプラントの安全性に問題がないことが確認されている。

 高浜3号機は2018年11月9日からの発電・送電開始を予定しているが、県原子力安全対策課は「現時点で工程に影響があるかは分からない」としている。(牧野将寛)

■高浜3号の定検作業員 計画線量 2倍超被ばく

福井新聞 2018年9月13日

 関西電力は12日、定期検査中の高浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット)の原子炉格納容器内で作業をしていた協力会社の作業員が、1日分の計画線量の2倍を超える外部被ばくを受けたと発表した。法令で定める年間限度量は超えておらず、内部被ばくや皮膚の汚染はなかったとしている。

 関電によると、作業員は東亜バルブエンジニアリング(兵庫県)の下請け会社の50代男性。10日午後、1次系の弁の分解点検を約3時間10分行った。管理区域から退出する際に線量計を確認したところ、計画値の0・9ミリシーベルトを大きく超える1・81ミリシーベルトの被ばくが分かった

 作業員の被ばく線量低減のため、一日1ミリシーベルトを超える作業に従事する際は、事前に労働基準監督署長への届け出が必要。関電は同日中に敦賀労基署へ線量超過を報告した。

 今回の作業では線量計の警報音が聞こえるようイヤホンを付ける必要があった。しかし作業員は装着しなかったため、警報音に気づかなかった。また、作業時間は2日前に同じ場所で行った別の作業員の被ばく実績値を元に、東亜バルブの放射線管理専任者が決めたが、線源と作業員の距離を十分考慮しなかったことが、計画外の被ばくを生んだとしている。関電は今回の被ばくについて、法令報告や安全協定上の異常報告に該当しないことから、別件と併せてこの日発表したとしている。(坂下享)

<解説>

 高浜3号機は、基本的な構造はすべて高浜4号機と同じです。その高浜4号機で放射能漏れの事故を起こしています。それも2018年8月20日に。しかし、関西電力はたった11日後の2018年8月31日に再稼動工程を始めました。そして9月28日に再稼動工程を終え、営業運転に入りました。あたかも、九州電力の原発4基稼動に対抗するかのように。安全無視の再稼動です。

■放射性物質含んだ蒸気わずかに漏れ 高浜4号、環境影響なし

福井新聞 2018年8月21日

 関西電力から20日、県に入った連絡によると、定期検査中の高浜原発4号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット)で、原子炉容器上ぶたと原子炉内の温度を測る温度計の入った管の接続部から、放射性物質を含んだ蒸気がわずかに漏れた。原子炉格納容器内にある放射線モニターに異常はなく、環境への影響はないとしている。

 県原子力安全対策課によると、20日午後3時ごろ、原子炉上部を巡視点検していた関電社員が蒸気が漏れているのを見つけた。高浜4号機は24日の発電・送電開始に向け18日から、原子炉の温度や圧力を上げていたが、19日の巡視点検では異常はなかったという。

 同課は、「接続金具の締め付け具合やステンレス製の漏れ止め部品などが原因ではないか」としている。

 蒸気漏れを受け、関電は20日午後6時ごろから温度や圧力を下げ始め、22日中にも分解点検を行う。24日の発電・送電開始は延期することを決めた。(牧野将寛)

<解説>

 東京電力福島第一原発と同じ、沸騰水型の原発であり、使用期限40年目前の原発を原子力規制委員会は2018年9月26日、再稼動を求める審査書を了承しました。日本原電の東海第二原発です。地元茨城県議会でも再稼動を求める決議すら上がっていないのに。

 原発再稼動の県議会決議を上げたのは、埼玉県議会だけです。埼玉に原発がないのに、なぜ?それは、地元茨城県議会でも東海第二原発の再稼動決議が上がっていないので、近くの都道府県で応援が欲しかったのでしょう。上田清二埼玉県知事(元民主党)が自民党と共謀した、駆け込み県議会決議が2017年12月22日に行われただけです。

 なぜ、原子力規制委員会はこのような無理な再稼動認可をしたのでしょうか?それはプルトニウムを強化したMOX燃料を使う原発だからです。比較的新しい北海道電力泊原発3号機の地下には活断層があり、さすがの原子力規制委員会も認可できないからです。無理に無理を重ねて、原発再稼動。しかし、待っているのは、第2の福島原発事故であり、それは日本の終わりを意味するのではないでしょうか?

■泊原発の断層 再調査を指示 原子力規制委

東京新聞 2017年12月9日 朝刊 6面 

 原子力規制委員会は八日の審査会合で、北海道電力が再稼働を目指す泊原発の敷地内で見つかっている断層が活断層ではないと判断するにはデータが不十分だとして再調査を指示した。

 活断層が原子炉建屋など重要施設の下にあると断定されれば再稼働はできない。直下でなくても敷地内にあれば、基準地震動(耐震設計で目安とする地震の揺れ)の見直しを迫られる可能性もある。北海道電が十分なデータを提示できなければ審査は長期化する。

 原発の新規制基準では、十三万~十二万年前以降に動いた断層を活断層と定義。北海道電はこれまでの審査で、泊原発敷地内の掘削調査で見つかった火山灰の層は約二十万年前に堆積したと説明。断層は地中のより深い層のため古い時期のもので、活断層には当たらないと主張した。しかし、規制委から今年三月、追加の火山灰データの提示を指示され、他の場所で掘削調査をしたが、同年代の火山灰の層は見つからなかった。

 北海道電は会合で、明確な火山灰の層はなかったが成分の一部などは見つかり、断層の活動性は否定できると説明。規制委側は「データが少なく信頼できない」とした。

 北海道電は二〇一三年、泊1~3号機の審査を申請。審査で難関とされる基準地震動の確定については、規制委が一五年におおむね了承した。

<図> MOX燃料使用原発一覧 2018年9月30日現在