<解説>

  四国電力は、今日10月1日(月)から伊方3号機に燃料装塡開始を開始します。2018年9月25日の広島高裁(三木昌之裁判長)の伊方3号機の運転差し止め仮処分に対する、四国電力の異議を認め、再稼働を容認する決定。更に、2018年9月28日の大分地裁(佐藤重憲裁判長)の伊方原発3号機の運転差し止めを求める仮処分申し立てを脚下したことを受け、一週間もしないうちの、再稼働に向けた取り組みです。もはや、司法が電力会社と一体となって原発再稼働への道を突き進んでいる、と言っても過言ではありません。

   更に、四国電力は2018年10月27日に伊方原発3号機の再稼働工程(いわば最終試験。5号検査。)を始める、としています。

  日本は大きくは4つのプレートのぶつかり合う、地震大国。特に太平洋プレート一帯で、大規模な地震が相次ぎ、2018年9月6日に、北海道胆振東部地震が起きたばかりです。震源の深さ37km、M6.7。苫東厚真火力発電所2号機、4号機、さらに1号機が停止し、北海道はブラックアウトになりました。この活断層も、それまで知られていなかったものです。

 もし、この地震が泊原発3号機直下で起きていたら、外部電源喪失だけではすまなかったでしょう。

  ましてや、四国電力伊方原発3号機の目の前には、中央構造線が走っています。四国電力の伊方原発の目の前の活断層の位置、長さの評価は、意図的に分断された活断層とされて過小評価されている疑いが濃厚です。

 そもそも、現在の地震学で活断層が動くことを事前に予測することは不可能です。

  福島の原発事故に見られるように、ひと度原発事故が起きれば、ふるさとが奪われ、自分の住む地域が放射線管理区域になります。大地と山、川、海、空気が汚染され、自然の豊かな恵みを取り戻すことは二度と出来なくなります。

 原発の再稼働を止める運動がねじまがっています。原発事故の避難計画の策定や、安定ヨウ素剤の各戸配布は、原発事故の稼動と、原発事故そのものの容認です。

  求めるべきは、被曝しない権利です。

  更に、原発村の科学者は「自然放射線がこれくらいあるから、原発事故の放射線がこれくらいでも大丈夫」などと、誤った放射線防護理論を振りかざします。空間線量では、健康被害の影響を測ることはできません。それは自然放射線が高いところ(イタリアのミラノなど)と、自然放射線が0.035~0.046マイクロシーベルト/時と低く大量の人工放射線で汚染された福島とを、同列に扱います。

  この議論は、どんな放射性物質が大地にあるかをかを考慮しない暴論です。天然のウランやその娘たちがたくさんあるところでは、空間線量は高くなり、場合によると0.23マイクロシーベルト/時(政府の除染基準)を超えますが、健康に影響はありません。自然放射能だからです。ところが、福島のように自然放射線が0.035マイクロシーベルト/時のところが、0.105マイクロシーベルト/時あれば、その増加分は人工放射線です。これはいずれ健康被害がでるレベルです。

<参考>

「原発事故前の福島県の空間線量率は0.035~0.046マイクロシーベルト/時 」 

   四国に生きるみなさん、伊方町長に「被曝させるな」という要求書を送りましょう。原発事故が起きた場合に、市民が避難する義務は法的にありません。「原発事故が起きても私は逃げない。」「被曝した場合のすべての精神的、肉体的、財産的損害を町長がすべて賠償することを求めます。」と配達証明付き郵便で送りましょう。「あなたに、私たち家族が平和に安心して暮らすことを奪うことは出来ない」と。

 行動を!現実を変えるための具体的な知恵を!  

◾伊方原発に燃料装填開始
高裁再稼働容認受け
(2018年10月1日 午前0時42分)

 広島高裁が再稼働を容認した異議審決定を受け、四国電力は1日未明、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の原子炉への核燃料装填作業を始めた。4日に完了予定。計157体の燃料集合体を入れ、27日の稼働、11月28日の営業運転移行を目指す。

 四国電によると、作業は24時間態勢で実施。伊方3号機は、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電を行うため、157体のうち16体はMOX燃料だ。

 縦向きの状態で燃料プールに保管されている集合体をクレーンなどで1体ずつ原子炉格納容器まで運び、原子炉容器の上から炉心に挿入する。

 四国電の工程では、装填完了後、10月27日に稼働させて30日に発送電を開始。原子力規制委員会の最終検査を経て、営業運転入りする見通しだ。

 伊方3号機は、2016年8月の再稼働後、昨年10月から定期検査に入った。今年1月の稼働を見込んでいたが、昨年12月の広島高裁の運転差し止め仮処分決定により運転停止が継続。しかし、今年9月25日に広島高裁が四国電の主張を認める異議審決定を出したことで、再稼働に向けた作業が可能となった。同28日には、大分地裁が運転差し止めを認めない決定を出した。

◾伊方3号 再稼働容認 広島高裁 大規模噴火「根拠ない」 四国電、来月27日運転へ

福井新聞  2018年9月26日

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定を不服とした四国電の申し立てによる異議審で、同高裁(三木昌之裁判長)は25日、異議を認め、再稼働を容認する決定を出した。東京電力福島第1原発事故後、高裁段階で初めて原発の運転差し止めを命じた昨年12月の決定を取り消した。四国電は3号機を10月27日に再稼働させる方針を明らかにした。

 決定で三木裁判長は、伊方原発から約130キロ離れた熊本県・阿蘇カルデラの火山リスクについて、「大規模な破局的噴火が起きる可能性が根拠をもって示されておらず、原発に火砕流が到達する可能性は小さい」と指摘した。

 四国電の主張が全面的に認められた形で、住民側は25日、最高裁への不服申し立てを行わない方針を示した。仮処分の審理は終結し、この日の決定が確定する見通し。ただ伊方3号機に対する同様の仮処分で、大分地裁が28日に決定を出す予定で、差し止めを命じれば再稼働はできなくなる。

 三木裁判長は、昨年12月の高裁決定が差し止めの根拠とした、原子力規制委員会策定の「火山影響評価ガイド」の立地評価について、「相当な正確さで噴火の時期と規模を予測できることを前提にしており不合理だ」と指摘。立地の適合性は「自然災害の危険をどの程度容認するかという社会通念を基準とせざるを得ない」との判断枠組みを示した。

 その上で、国が破局的噴火の具体的対策を定めておらず、国民の多くも問題にしていないことを踏まえ、「伊方原発の安全性は欠けていないというのが社会通念だ」と判断。四国電が想定する火山灰の堆積量は合理的で、非常用電源確保の対策も取っているとし、噴火による対応不可能な具体的危険性は存在しないと結論付けた。

 地震のリスクについても、原発の新規制基準に適合するとした規制委の判断は合理的だとした。

 昨年12月の高裁の即時抗告審決定は、阿蘇カルデラで、大規模な「破局的噴火」が起きた際、火砕流が原発敷地内に到達する可能性を指摘。広島地裁で係争中の差し止め訴訟で仮処分と異なる結論が出る可能性を考慮し、効力を今月30日までとしていた。

 伊方3号機を巡る同様の仮処分は、大分地裁のほか、高松高裁や山口地裁岩国支部でも係争中となっている。

◾伊方原発の運転認める  大分地裁、仮処分決定
福井新聞  2018年9月28日

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを、対岸の大分県の住民が求めた仮処分申し立てに対し、大分地裁は28日、差し止めを認めず、却下する決定をした。佐藤重憲裁判長は争点だった阿蘇山の噴火リスクについて「運用期間中に破局的噴火が差し迫っているとは言えず、原発は安全性に欠けない」と判断した。住民側は即時抗告する方針。

 3号機を巡っては、昨年12月に広島高裁が阿蘇山の噴火リスクを根拠に運転を禁じたが、今月25日に高裁の別の裁判長がこの決定を覆した。四国電は10月27日の再稼働を予定している。

 大分地裁は、阿蘇山の地下にあるマグマだまりの状況や火山活動履歴に基づき、破局的噴火が生じる相応の根拠はないと指摘。原発立地の適否を考慮する上で「社会通念上、無視できる危険だ」とした。

 伊方原発は長大な活断層「中央構造線断層帯」に近く、南海トラフ巨大地震の震源域に入る。住民側は、四国電が算定した耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)は過小だと主張した。

 決定は、東京電力福島第1原発事故後に定められた新規制基準は合理的とし、四国電が示した耐震性も妥当と評価した。

 大分県は豊後水道を挟んで伊方原発から最短約45キロに位置する。仮処分を申し立てたのは男女4人。併せて起こした同種の訴訟には住民ら約500人が参加している。

 3号機を巡る同様の仮処分申し立ては、高松高裁や山口地裁岩国支部でも係争中。