2013年11月16日河北新報は、「福島第1原発1号機 燃料震災前破損70体 全体の4分の1」と報道しました。しかし、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、東京新聞、中日新聞もこの1号機の使用済核燃料プールの70体の損傷燃料について、一切報道していません。なぜなのでしょうか?

 2014年10月22日から始まった、東京第一原発1号機の建屋カバー取り外し作業は、1号機建屋内に設置されている使用済み核燃料プールから、核燃料を取りだすために行う作業です。そして、損傷燃料を取り出す技術はない、と東京電力も認めています。この困難な作業が開始されようとしているのに、大手新聞は本質的な問題をまったく報道していません。

 以下、2013年11月16日付け、河北新報記事全文を掲載します。

福島第1原発1号機 燃料震災前破損70体 全体の4分の1

 福島第1原発1号機の使用済み燃料プール内にある燃料棒70体が東日本大震災前から損傷していたことが15日、分かった。プール内に保管されている使用済み燃料292体の4分の1に相当する。損傷した燃料棒を取り出す技術は確立しておらず、2017年にも始まる1号機の燃料取り出し計画や廃炉作業への影響が懸念される。
 東京電力は、15日まで事実関係を公表してこなかった。同社は「国への報告は随時してきた」と説明している。
 東電によると70体の燃料棒は、小さな穴が空いて放射性物質が漏れ出すなどトラブルが相次いだため、原子炉から取り出してプール内に別に保管していたという。
 18日に燃料取り出しが始まる4号機プール内にも損傷した燃料棒が3体あり、東電は通常の取り出しが困難なため、対応を後回しにしている。
 損傷した燃料棒は1、4号機プールのほかにも2号機プールに3体、3号機プールに4体の計80体ある。東電は専用の輸送容器を新たに製造するなど対応策を検討する。
 損傷燃料が1号機に集中している理由について、東電は「1号機は当社で最も古い原発で、燃料棒の製造時、品質管理に問題があり粗悪品が多かったと聞いている。2号機以降は燃料棒の改良が進み、品質は改善した」と説明した。
 1号機は東電初の原発で、1971年3月に商業運転を開始した。

 以下は、東京電力が発表している、原発事故当時、原子炉内にあった核燃料と使用済み核燃料プール内にあった核燃料一覧です。川根が各資料を元に整理しました。