関電3億2千万円“裏金” 元助役の関連会社が稲田朋美元防衛相ら自民党議員に献金 後援会長も
2019年10月3日 週刊朝日

稲田朋美元防衛相/(c)朝日新聞
【アイビックスの吉田敏貢会長の名前があった「収支報告書」はこちら】
社内調査報告書では、高浜町の「影の町長」とも呼ばれた森山氏が「国会議員に広い人脈を有している」こともあって、関係を深めたと説明。森山氏が筆頭株主とされ、取締役を務めていた警備会社「オーイング」(本社・福井県高浜町)と、その関連会社の「アイビックス」(本社・福井市)が、自民党の稲田朋美元防衛相に献金していたこともわかった。アイビックスの吉田敏貢会長は稲田氏の後援会長を務めていた。
稲田氏が代表を務める自民党福井県第一選挙区支部の政治資金収支報告書によると、アイビックスは2011、12年にそれぞれ36万円、吉田氏個人として11年に50万円を献金。オーイングも11、12年にそれぞれ12万円を献金していた。
また、衆院議員の高木毅氏(福井2区)が代表を務める自民党福井県第二選挙区支部は、16年に警備費用としてオーイングに約19万4千円を支払っていた。
本誌が12年春に森山氏を直撃取材していたことはすでに報じた。その時に関電への資金提供、国会議員との関係についても聞いていた。
――森山氏と関電は深い関係にあると聞いている。関電から便宜を受けることはあるのか?
「原発立地町だから、いろいろ聞くことはある。当然のことだ」
――森山氏と関係のある会社が優先的に、関電の仕事を請け負っているとの話を聞いたが?
「私も長く原発にかかわっている。関係ある会社はある。だが、関電に特別なことを頼むことはない」
――関電から便宜を受けたり、逆に接待したりするなどないのか? 金銭授受の噂(うわさ)もある?
「そんなことはあるわけない」
――国会議員との強力な関係を指摘する人もいる?
「地元なんだから当然、先生は知っているよ。それだけだ」
――「影の町長」という人もいる。それは国会議員や関電との特別な関係があるからなのでは?
「影の町長だなんてないよ。嫉妬とかあっていろいろ言う人がいるようだが、何もないよ」
森山氏は、関電や国会議員との「特別な関係」を否定していたが、金品の提供や国会議員との関係について、関電側は2日の会見や報告書で認めている。
森山氏をよく知る高浜町の関係者はこう話す。
「森山氏は普段はいいおじいさんですわ。けど、ひとたび自分の思い通りにならないと豹変(ひょうへん)する。怒らせると本当に怖いですね。影の町長、フィクサーと言われるのは関電や国会議員との強力な関係があるからです。私も関電の社長だという人と森山氏のツーショット写真を見せられました。高浜町の元助役程度で関電の社長と会えるわけがない」
ある野党幹部が話す。
「関電のスキャンダルが出てから、高木氏がなぜかアポもなく野党の控室にふらっと現れてびっくりした。普通、与党の大臣経験者がいくら議院運営委員長だからといって、野党の控室なんか来たりしませんよ。野党が何か探ってないか偵察にきたんじゃないか。関電スキャンダルと政治については今後、国会で追及したい」(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事