処理水の大阪湾放出反対申し入れ

2019年9月20日 NHK 関西放送局

大阪市の松井市長が、福島第一原子力発電所にたまり続けている放射性物質などを含む水の安全性が確認できれば、大阪湾への放出に協力する考えを示していることについて、学識者などで作る市民団体が大阪市に対し、放出を行わないよう確約を求める申し入れを行いました。

福島第一原子力発電所にたまり続けている放射性物質のトリチウムなどを含む水の処分について、大阪市の松井市長は、環境への影響がないことが科学的に確認できれば、大阪湾への放出に協力する考えを示しています。
これに対し、放射能や環境問題に取り組んでいる学識者やジャーナリストなどでつくる市民団体が、20日、大阪市に対し、「放射能汚染水をわざわざ大阪に移送し、湾内に放出するなどというのは、ありえない話だ」として、大阪湾への放出を行わないよう確約を求める申し入れ書を提出しました。
このあとメンバーが記者会見し、ジャーナリストの木下黄太さんは、「高濃度のトリチウムが無害と断定できる研究はない。大阪湾は地形が特殊で湾内に滞留するリスクがある。放出が現実にならないよう、ありとあらゆる手段を講じたい」と述べました。
松井市長の発言をめぐっては、大阪府内の漁協でつくる大阪府漁業協同組合連合会も、大阪市と大阪府に抗議文を提出するなど、波紋が広がっています。

【松井市長”議論が深まればいい”】
市民団体の申し入れについて、大阪市の松井市長は、記者団に対し、「波紋が広がって議論が深まればいい。処理水をどう処分していくか、政府が方向性を示すべきだ。自然環境に悪い影響を出さないレベルであることを科学的根拠をもって証明できれば、日本中どこでも受け入れることができる」と述べました。