[解説]

「1時間半の作業での被ばく線量は16ミリシーベルト」、これのどこが、健康に影響のない、被ばくなのでしょうか?福島地裁いわき支部、名島亨卓裁判長の見識が疑われます。現在の東電福島第一で行われている廃炉作業でも、1回の作業で最大2ミリシーベルトの被ばくが上限です。2ミリシーベルトを超えるとアラームが鳴るように設定されています。世界のどこの原発で1回の作業で1ミリシーベルトを超える被ばく労働をさせているのでしょうか?福島地裁いわき支部、名島亨卓裁判長は、原発で1回に16ミリシーベルトもの被ばくをすることの意味を理解していません。原発の、それも原発汚染水の被ばくは、X線検査やCTスキャンの被ばくとは、同じミリシーベルトでも、まったく人体影響が違うのです。1回に16ミリシーベルトまで被ばくしても、健康に影響ない、とする不当判決は撤回するべきです。

〈参考〉

「 2ミリシーベルト浴びたら歯が抜け働けなくなった、原発労働者の話」

内部被ばくを考える市民研究会資料 2014年4月24日

 

被ばく訴訟 東電に賠償命じる

2019年6月26日 NHK福島放送局

東京電力福島第一原子力発電所で事故直後、放射線量が高いことを伝えられないまま作業をさせられ、被ばくしたとして、元作業員の男性が損害賠償を求めた裁判で、福島地方裁判所いわき支部は、男性が精神的な損害を受けたとして、東京電力に33万円の賠償を命じました。

いわき市の53歳の元作業員の男性は、原発事故直後の平成23年3月に、福島第一原発3号機のタービン建屋の地下で放射線量が高い水たまりがあることを知らされないまま作業をさせられ、被ばくしたなどとして、東京電力や元請け企業などにあわせて1100万円の賠償を求める訴えを起こしていました。
26日の判決で、福島地方裁判所いわき支部の名島亨卓裁判長は、原告の男性について、いっしょにいた作業員の被ばく線量が放射線管理の目安としていた20ミリシーベルトを超えたことを示す警告音が鳴るなかで作業を続けさせられ、不安と恐怖を覚えたことによる精神的損害を認め、東京電力に対し、33万円の賠償を命じました。
一方で、被告の1時間半の作業での被ばく線量は16ミリシーベルトほどで健康に影響が及ぶ程度の被ばくではないとしました。
元請け企業など2社に対しては、原子力災害の責任は原子力事業者に集中するとして賠償を命じませんでした。

【東京電力のコメント】
東京電力は、「言い渡された判決については今後内容を精査し、真摯に対応して参ります」とコメントしています。

【原告側の弁護士は】
原告側の広田次男弁護士は「福島第一原発の作業員が事故による被害に対する賠償を求めた裁判で、一部だが、訴えが認められた初めてのケースだ。原告の男性は『1人の原発作業員が東京電力から賠償を勝ち取ることができたことは大変大きい』と話していた。原発作業員が置かれている立場は弱いものだが、今回の判決は胸を張れるもので、ほかの作業員に勇気を与える」と話していました。