[解説]
2019年5月20日から、東京電力は、福島第一原発1/2号機排気筒の解体撤去工事を始める、としていました(2019年5月10日朝日新聞ほか)。しかし、昨日2019年5月14日、突然、「クレーンの長さが1.6メートル足りなかった。1:2号機排気筒の解体撤去は延期する」と東京電力は発表しました(以下、2019年5月14日 4:58am NHK NEWS WEB)。
NHKニュースの下の「原子力産業協会」ニュースにも書かれているように、本来は2019年3月に解体撤去工事を開始する予定でした。モックアップと呼ばれる、実物大の模型を使って練習に練習を重ねて安全に作業を行うため、と称して、東京電力は2019月3月の作業開始時期を、2019年5月連休明けに延期していました。モックアップをやっているのであればクレーンが1.6メートルも足りない、ということがありうるでしょうか?しっかり、モックアップをやっていたのであれば、考えられるのは、東京電力福島第一原発の敷地がズブズブの軟弱地盤であることです。ちょうど、沖縄・辺野古米軍新基地の地下がマヨネーズ並みと言われる軟弱地盤であるように。
防衛省と同じく、東京電力も実はすでに、1/2号機排気筒の周辺が軟弱地盤であり、数十トン、いや750トンもの解体クレーンが設置できないことを分かっていたのではないでしょうか?
東京電力は、1/2号機排気筒解体撤去工事の現場のN値を公表し、作業延期の本当の理由を公表すべきです。
福島第一原発 排気筒の解体作業延期 クレーンの高さ足りず
2019年5月14日 4時58分 NHK NEWS WEB
しかし11日、模擬の解体装置をクレーンでつるして確認したところ、クレーンが必要な高さよりも1.6メートルほど足りないことがわかったということです。
東京電力は余裕をもって設計していたとしていますが、実際にはクレーンのアームの角度に誤差が生じ、想定よりも高さが足りなかったということです。
このため今月20日の解体作業は延期となりましたが、作業開始の時期は未定だということです。
福島第一1/2号機排気筒解体は5月着手、手戻りなきようモックアップ試験を念入りに
2019年2月1日 原子力産業協会
東京電力は1月31日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。
使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けて3月の開始を予定していた1/2号機排気筒の解体は、追加の安全対策やトラブル発生時に備えた訓練を実施する必要から、5月中旬より着手することとなった。1/2号機排気筒については、損傷・破断箇所があることから、高さ約60~120mの上部をまず解体し耐震裕度を確保する計画だが、作業員の被ばく低減を重視し遠隔による解体工事を行なうため、2018年8月より構外(広野町)でモックアップ試験を実施している。福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの小野明氏は、同日の記者会見で、3号機使用済み燃料取り出しのための燃料取扱設備で発生した不具合の経験から、「一度トラブルが起きると修復が極めて困難なことを痛感した」と強調し、サイト内に入ってから手戻りのないよう年度内はモックアップ試験を継続することを述べた。
燃料デブリ取り出しに向けて2月中~下旬に予定される2号機原子炉格納容器内部調査では、2018年1月の調査でペデスタル(原子炉圧力容器下部)底部に確認された堆積物の性状(硬さや脆さ)を把握すべく、フィンガ構造を備えた新たな調査装置を導入する。前回調査時からの変化を確認するとともに、さらに堆積物に接近して形状、表面の状態、固着状況など、より詳細な情報を収集し、今後の取り出し方法の検討に活用していく。これに続く調査に向けて、2019年度下期の導入を目指し全長約22mのアーム型アクセス装置の開発が進められているが、小野氏は「より広範囲に3次元の形状測定を行い、燃料デブリマップの作成につなげていきたい」として、同装置による本格的調査に期待感を示した。
なお、福島第一原子力発電所の廃炉に関するIAEAレビューミッション(2018年11月)の最終報告書が1月31日に資源エネルギー庁より公表された。本報告書では、17項目の評価できる点と21項目の助言が述べられている。
福島第一の排気筒、20日から解体へ 事故時「ベント」に使用
東京電力は9日、福島第一原発1、2号機の共用の排気筒(高さ120メートル、直径3・2メートル)の解体作業を20日から始める、と発表した。8年前の事故発生時に損傷しているため、倒壊しないように年内をめどに上半分を撤去する。事故で飛散した放射性物質で高濃度に汚染された施設の解体は初めて。周辺の放射線量はいまも高く、遠隔操作での難しい作業になる。
排気筒は、事故が起きた時に1号機の原子炉格納容器の圧力が高まり、外部に放射性物質を含む水蒸気を放出する「ベント(排気)」に使われた。周辺の線量が高く、補修ができないまま放置されてきた。
排気筒を支える周囲の鉄柱は、複数の場所で破断していたことも発覚。事故で建屋が水素爆発した際の爆風で損傷したとみられる。
解体作業は、切断用の特殊な装置を大型クレーンでつるし、排気筒の上部から輪切りにしていく。
排気筒の根元付近では、事故直後に毎時10シーベルト超、2015年の調査でも毎時2シーベルトの線量が計測された。福島第一の屋外で最も線量が高く、その場に数時間いると死に至るレベルという。東電は作業員の被曝(ひばく)を抑えるため、200メートル離れた場所に大型バスを改造した操作室を設置。160台のカメラ映像を見ながら遠隔で装置を動かす。(川原千夏子)
ジャパンホームシールド株式会社 スマ研「地盤調査結果に見られるN値とは?」より
N値とは?
N値とは、土の締まり具合や強度を求める基準となる数値です。標準貫入試験によって求められるため、標準貫入試験値とも呼びます。
標準貫入試験とは
測定用の鉄棒器具の先端に取り付けた63.5kgのおもりを、76cmの高さから自由落下させる試験です。土中のサンプラーを30cm貫入させるまでに要した打撃の回数が、「N値」となります。一般的にはボーリング調査とも呼ばれています。
この数値が高ければ高いほど、土に締まりがあって重い建物に耐えられる地盤であることを意味します。