日本の放射線防護は死にました。環境省が殺しました。この日本という国には、放射線防護という言葉はありません。東電 福島第一原発事故で放出された8,000ベクレル/kg以下の土壌を公園の敷地に埋めます。だいたい、東電の原発事故以前は100ベクレル/kg以下でも柏崎刈羽原発では、「低レベル放射性廃棄物」として厳重管理していたのですが……。

資料pdf『100 ベクレル/kgを越えるものを放射性廃棄物として管理することをうたった法令 作成・編集 川根眞也 2013年7月22日』

朝日新聞 新潟版2012年4月20日『「100ベクレル以下」でも厳重保管 柏崎刈羽原発にて』

 この100ベクレル/kgが日本人の食べることのできる、食品の基準になりました。さらに、環境省は、原発から出る廃棄物の再利用の基準(クリアランス・レベルと言います)をこの100ベクレル/kgから一挙に8000ベクレル/kgまで引き上げたのです。福島県内だけも膨大な放射能汚染土、草木が出ています。これを全国に薄めてばらまいて、減容化しようというのが、今回の環境省の方針です。

 そもそも、放射性物質の管理の基本は「場の管理」であり、放射性物質を閉じ込めておいて、外に漏らさないことが基本でした。しかし、東電 福島第一原発事故で本来原子炉の中にあるべき放射性物質が大量に環境中に放出されてしまったため、空間線量で人体への健康影響を考えるというでたらめに変わってしまいました。それも、現在の日本に生きる市民も、内部被ばくと外部被ばくとを合わせて年間2.4ミリシーベルトの被ばくをしているから、数ミリシーベルトは健康に影響がないなどという暴論も語られています。

 病院などでは現在でも「放射線管理区域」(ガンマ線、ベータ線を出す核種の場合は4万ベクレル/m2、アルファ線核種の場合は4000ベクレル/m2)を規定した、電離放射線防護規則によって規制されています。18歳未満立ち入り禁止、飲食禁止、その場から退出するときは、手足やホールボディーカウンターなどのスクリーニング検査を受けなくてはなりません。このガンマ線、ベータ線で4万ベクレル/m2を生み出す、放射能汚染土壌のレベルは、615ベクレル/kgです。それを8000ベクレル/kgまで再利用してよい、とはどういうことでしょうか。原発事故が起きたために、日本では放射能に関して無法地帯になってしまったようです。

 また、ベラルーシやウクライナ、ロシアでは、単に4万ベクレル/m2(3国ではキュリーという単位で区域を区分していたため、3.7万ベクレル/m2が放射線定期管理居住区域です。日本の「放射線管理区域」にほぼ同じ)と判断するのではなく、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム238,239,240の核種ごとに決めています。

 日本のようにあたかも、ストロンチウム90やプルトニウムがまったくないかのような対応は間違っています。また、航空機モニタリングだけで放射能汚染汚染マップを作っており、実際の土壌測定データが不足しています。核種ごと、また、実際の土壌データを元に、放射能汚染マップを作るべきです。

 放射線管理の基本は、放射能で汚染されているものであれば、「動かさない」のが基本です。福島では2017年10月28日、中間貯蔵施設が本格稼動していますが、これも誤りです。放射能汚染された土壌は埋めるしかありません。確かに、地下水を汚染し、ひいては海も汚染します。非常に残念ながら、汚染を止めることはできません。しかし、汚染土を運搬する時に起こる事故、また、減容化施設があり、ここで燃えるものは燃やす、としています。まさに正気の沙汰ではありません。

 環境省は、放射能拡散省に名称を変更するべきです。放射能汚染土を全国にばらまくのをやめさせましょう。

*** 引用開始 ***

緑地公園造成に汚染土…非公開会合で検討

毎日新聞2017年3月26日 07時30分(最終更新 3月26日 10時18分)

 

除染作業で出た汚染土などの仮置き場に積み上がる無数のフレコンバッグ=福島県富岡町で、本社ヘリから森田剛史撮影

 

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土をくぼ地の埋め立てに再利用し、造成した土地を公園などとして使う案を環境省が検討していることが分かった。同省は先月、放射線の専門家を集めた非公開会合でこの再利用案を協議しており、27日の公開会合で提示する方針だ。しかし、既に明らかにされている防潮堤などへの再利用と異なり、子供らの遊び場にもなる公園への再利用は議論を呼びそうだ。

 汚染土を巡って環境省は昨年6月、1キロ当たりの放射性セシウム濃度8000ベクレルを上限に管理しながら、道路の盛り土など公共工事に再利用する方針を決定。関係者によると、環境省は新たに、工事用に土を取った跡などのくぼ地に汚染土を埋めて土地を造成する再利用法を発案した。造成後は農地や住宅地だと私有地となり管理と言えないため、自治体などが管理する緑地公園や森林とする方向で検討。放射線を遮蔽(しゃへい)するため数十センチ~1メートル程度の覆土を想定し、植栽も行う。

 先月24日には非公開会合「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ」を開催。造成工事や造成後に地震や豪雨に遭った際の復旧作業での被ばくについて検討した。この中で日本原子力研究開発機構の担当者は、一般人の年間被ばく線量限度である1ミリシーベルト相当として汚染土の放射能濃度を4000~7000ベクレルと設定した試算結果を示した。

 試算結果について委員から異論は出なかったが、試算で考慮していない保全作業員の内部被ばくや造成後の森林で育った木材の使用などについて意見が続出。「『考慮したが小さい』と書いた方が安心感が増す」「『他の制度で考慮している』と書いた方がいい」など、表現の修正意見が相次いだという。こうした意見を受け、環境省は検討案を修正。27日に開く「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」の公開会合で提示するとみられる。【日野行介】

選択肢の一つ…汚染土の再利用を担当する環境省の神谷洋一参事官の話

 管理可能な中でいろんな選択肢がある方が望ましいと思っている。

地下水汚染も…熊本一規・明治学院大教授(環境政策)の話

 埋めれば地下水汚染の危険性が高まる。公園にしても誰も利用せず、森林なら根から放射性物質を吸収する。環境を守る意識を感じない。環境省は汚染土減らししか考えていないのでは。

** 引用終了 ***