九電消費者株主の会ブログ
より全文転載させていただきました。
老朽原発はただちに廃炉にすべきです。
2015年8月20日
九州電力株式会社 代表取締役社長 瓜生 道明 様
川内原発の老朽化対策、及び基準地震動策定に関する公開質問状
九電消費者株主の会代表 木村京子
脱原発ネットワーク・九州代表 深江 守
反原発・かごしまネット代表 向原祥隆
脱原発大分ネットワーク代表 藤崎 薫
地球ファンクラブ代表 井倉順子
宮崎の自然と未来を守る会代表 青木幸雄
ピースアクト出水 福島直子
「キリスト者・九条の会」代表 上西創造
「曽根九条の会」
「イラク判決を活かす会」
下関の行動と言葉をつなぐ「海」編集委員 大城研司
「風下の会」代表 星隈二三男
「原発をなくす糸島の会」代表世話人 石井政博
岩永数昭
古藤宗治
「脱原発!いとしまネットワーク」代表 岡部寛喜
たんぽぽとりで代表 山中陽子
原発知っちょる会代表 山口輝生
仏教徒非戦の会・福岡代表 郡島恒昭
さよなら原発北九州連絡会代表世話人 棚次奎介
(連絡先)
803-0277 北九州市小倉南区徳吉東1-13-24 深江 守
Tel/Fax 093-452-0665
携帯/ 090-9478-6195
E-メール mfukae@cnc.bbiq.jp
九州電力は玄海原発1、2号機、及び川内原発1、2号機の老朽化対策として、原子炉内の主要な機器類を交換することでその延命を計ってきた。川内原発では蒸気発生器や原子炉圧力容器上部ふたの取り換え工事など様々な取り換え工事が行われており、その老朽化ぶりを窺い知ることができる。原発を建設した当時、これらの重要機器類を交換するなどまさに想定外のことだったはずである。本来なら、部分的な交換ではなく、原発本体そのものを交換しない限り、その健全性は保障されない。ましてや川内2号機では、すでに取り換え工事が終わっているはずのボロボロの蒸気発生器が交換されることなく再び使用されようとしている。まさに自殺行為と言う他ない。
この問題も含め、いくつかの問題を質問します。公益企業体としての九州電力の誠意ある回答をお願いします。
尚、回答の場を9月7日の週、もしくは、14日の週で設定していただくよう合わせて申し入れます。
一、川内原発の老朽化対策についての質問
1、九州電力は2004年11月25日、川内原発1号機の蒸気発生器の取替え、1、2号機原子炉圧力容器上部ふた取替え等の計画を明らかにしている。この件について、いくつか質問します。
①、蒸気発生器取替えについて、「伝熱管施栓補修作業に伴う作業者の被ばく増加や定期検査期間の長期化等を避ける観点から、最新設計の蒸気発生器に取り換える」とある。これは三菱重工製の51M型を同54F型に取り換えたということでいいでしょうか。また、その時期は何時でしょうか。
②、川内原発1号機は3ループ構造だが、蒸気発生器(細管本数3382本)A、B、C、それぞれの総施栓本数、施栓率をお答えください。
③、定期検査毎に全数(10146本)検査を行っていましたか。また、その検査方法を教えてください。
④、スリーブ補修、施栓の基準を教えてください。また、補修や施栓により、蒸気発生器の安全性はどの程度保証されるのでしょうか。
⑤、蒸気発生器を交換したことにより、労働者の被ばくはどのように低減したのでしょうか。
⑥、伝熱管材質をインコネルTT600からインコネルTT690に、伝熱管振れ止め金具を2本組から3本金具に、伝熱管支持版を丸穴から四つ葉型等に変更しているが、その結果、蒸気発生器の健全性はどのように変化しましたか。
⑦、インコネル600、TT600、TT690の違いは何でしょうか。
⑧、原子炉圧力容器上部ふた取替えについて、上部ふた構造が二分割から一体構造に、菅台材質が600ニッケル基合金から690ニッケル基合金に、キャノピーシールが「なし」に変更になっています。上部ふた構造、材質、キャノピーシール、それぞれにどんな問題があって交換したのでしょうか。交換した結果、原子炉圧力容器の健全性は保たれていますか。また1号機の上部ふたを取り換えた時期は何時ですか。
⑨、中レベル放射性廃棄物である、取り換えた蒸気発生器、原子炉圧力容器上部ふた等は何処、どの様に保管していますか。
2、川内原発2号機は2008年の第18回定期検査で、①原子炉圧力容器上部ふた取替え工事、②再生熱交換器取替え工事、③余熱除去ポンプ吸込ライン及び低温側補助注入ライン取替え工事、④抽出ライン配管取替え工事、⑤蒸気発生器入口菅台溶接部計画保全工事等を行っています。この件について、いくつか質問します。
①、これ等の取替え工事は、建設当初から予定されていた工事なのでしょうか。
②、上記②、③、④、⑤について、予防保全ということですが、本来取り換えることを想定していなかった機器類を交換するわけですから、相当に劣化が進んでいたことが想像されます。劣化の状況を具体的に教えてください。また、取り換えた結果、原発の健全性は向上しましたか。
3、川内原発1号機は、2010年の第20回定期検査で①加圧器菅台溶接部の計画保全工事、②加圧器スプレイライン及び加圧器補助スプレイライン取替え工事、③格納容器再循環サンプスクリーン取替え工事、④計装用電源装置(安全系)取替え工事を行っています。何故、これだけの機器類を取り換える必要があったのでしょうか。具体的にお答えください。また、その結果、原発の健全性は向上しましたか。
4、川内原発2号機は、2011年の第20回検査で、①加圧器スプレイライン取替え工事、②充填ライン撤去及び取替え工事を計画していました。これ等の工事は、具体的にどういう工事で、何のために行ったかを教えてください。また、取替え工事は、予定通り行われましたか。
5、九州電力が2009年11月5日、経産大臣に申請していた「川内原発2号機の蒸気発生器取替え等に関わる原子炉設置変更許可」願いについて、2010年12月27日、許可されています。また、原子力安全協定に基づく事前了解願についても、2011年1月14日、鹿児島県知事からの「了承する」旨の回答が出ています。この件についていくつか質問します。
①、蒸気発生器の型が「51F型」から「54F型」に変更になっていますが、1号機の取り換えた蒸気発生器と同様の仕様ということでしょうか。
②、取替えを申請するに至った川内原発2号機蒸気発生器の劣化の状況を詳しく教えてください。
③、川内原発2号機は2008年の第18回定期検査で、蒸気発生器入口菅台溶接部計画保全工事を行っています。まさに蒸気発生器と一体の部分と見てもいいわけですが、なぜ、この時、計画的に蒸気発生器本体も交換しなかったのですか。
③、鹿児島県が「了解」した蒸気発生器の交換の時期は、「2014年度実施」となっていますが、蒸気発生器の交換は行われたのでしょうか。
④、行われていないとすれば、何か理由があるのでしょうか。
⑤、米国サン・オノフレ原発では、三菱重工が開発した新型の蒸気発生器「70F-1型」と交換後、わずか1年で3000本以上の伝熱管1万5000カ所に摩耗が発見され、廃炉となりました。米国の原子力規制は日本と違い、かなり厳しい安全性が電力会社に求めらているため、廃炉を決断したものと思われます。2014年度には「交換」することを鹿児島県知事、経産大臣が承認(安全性確保のためには止む無しと判断)していたわけですが、交換しないまま、4年以上停止していた原発を動かして、蒸気発生器(細管)の安全性は保証されますか。保証されるとすれば、それは誰が保証しますか。瓜生社長ですか。伊藤鹿児島県知事ですか。それとも宮沢経産大臣ですか。
6、蒸気発生器細管の破断事故は加圧水型原発のアキレス腱と言われています。実際、関西電力美浜原発をはじめ、世界各地の原発で蒸気発生器細管の破断事故が起きています。九州電力は蒸気発生器細管の複数本破断事故が起きた場合の安全解析は行っていますか。行っているのなら、その資料をお示しください。
二、基準地震動策定に関する質問
6月25日に開催された株主総会でのスラブ内地震に関する質問に対し、①「プレート間地震及び海洋プレート内地震(スラブ内地震)につきましては、その発生位置から敷地までの距離が十分離れているため、敷地に大きな影響を及ぼす地震ではないと評価しております。」[平成26年5月23日、第114回審査会合、資料2-1:4ページ及び 資料2-3:5ページ]、②「プレート間地震につきましては、南海トラフ~日向灘のMw9.0の巨大地震(敷地から震源域までの最短距離:約130km)による揺れを詳細に計算し、その最大加速度は30ガル程度にしかならないことを確認しております。」[平成26年5月23日、第114回審査会合、資料2-1:13ページ]、③「海洋プレート内地震(スラブ内地震)につきましては、敷地から震源域までの最短距離はプレート間地震と同程度で、1909年の宮崎県西部地震(M7.6)と同規模、さらにはそれ以上(M8.0程度)の規模を想定したとしても、プレート間地震より大幅にマグニチュードが小さいため、敷地での最大加速度はプレート間地震の30ガル程度を上回ることはない(数十ガル程度にしかならない)と評価しております。これを踏まえ、審査会合での資料には、敷地にとってより大きな揺れとなるプレート間地震の詳細な計算結果を代表として記載しております」と回答しています。
この件ついていくつか質問します。尚、この質問は、地震調査研究推進本部地震調査委員会が2004年2月27日に発表した、「日向灘および南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価について」という報告書を基にしています。
①、1909年に宮崎県西部の深さ約150kmで推定M7.6のスラブ内地震が起こり、宮崎、 鹿児島、大分、佐賀で震度5を記録するなど各地に被害が生じました。遠く離れた佐賀でさえ震度5を記録していますが、川内敷地内では「30ガル程度を上回らない」という根拠をお示しください。
②、地震調査委員会は報告の中で、上記宮崎県西部地震と奄美大島近海で1911年に発生したM8.0の地震をスラブ内地震として評価しています。それによると、「これらの地震の震源域の深さや、やや深発の微小地震の分布から、深さ60㎞~150㎞の範囲のフィリピン海プレート内部を一続きの同様な地震発生場と考え」とあります。その範囲は、大分県の国東半島から鹿児島市、トカラ列島を経て与那国島周辺まで1000キロに及び、「将来発生するM7.5程度の大地震の位置を特定することは困難」としています。地震調査委員会の評価は極めて妥当なものですが、鹿児島市直下でM7.5のスラブ内地震が起きないとは評価していません。それどころか、「深さ60㎞~150㎞の範囲のフィリピン海プレート内部を一続きの同様な地震発生場と考え」と評価しています。
九州電力の「プレート間地震及び海洋プレート内地震(スラブ内地震)につきましては、その発生位置から敷地までの距離が十分離れているため、敷地に大きな影響を及ぼす地震ではないと評価しております」という評価は、地震調査委員会の評価とは異なりますが、その理由をお示しください。
③、端的に、鹿児島市直下で、M7.5クラスのスラブ内地震が起きないという根拠をお示しください。また、起きた場合の評価をしているのであれば、それも合わせてお示しください。
④、九州電力のスラブ内地震の評価は根拠がありません。再度、基準地震動の策定をやり直すべきではありませんか。
三、基準地震動と制御棒挿入時間に関する質問
①、基準地震動が372ガルの時の1、制御棒クラスタ駆動装置の最大変位、2、制御棒クラスタ案内菅の最大変位、3、燃料集合体の最大変位をそれぞれ教えてください。
②、合わせて、基準地震動540ガル、620ガルの時の上記1、2、3の数値を教えてください。
③、制御棒クラスタ挿入時間の解析結果を、1、通常運転時、2、372ガルの時、3、540ガルの時、4、620ガルの時、それぞれ何秒になるか教えてください。
④、上記③の根拠となるデータをお示しください。
四、原子炉解体引当金についての質問
原子力発電所の廃炉に関する費用(解体引当金)については、経済産業省令に基づき毎年度引当を行っています。九州電力における費用の見積額及び解体引当金の状況は以下の通りとなっているとのこと。(平成26年3月末時点、運転期間を40年として計算)
玄海1号= 見積額:357億円、引当額:328億円 - 29億円 現在39年運転
玄海2号= 見積額:355億円、引当額:298億円 - 57億円 現在33年運転
玄海3号= 見積額:569億円、引当額:285億円 - 284億円 現在21年運転
玄海4号= 見積額:575億円、引当額:248億円 - 327億円 現在17年運転
川内1号= 見積額:550億円、引当額:420億円 - 130億円 現在30年運転
川内2号= 見積額:546億円、引当額:404億円 - 142億円 現在30年運転
- 969億円
①、玄海1号機は廃炉が決定し、解体引当金は「29億円の不足」という報告でしたが、先の株主総会では、「玄海1号機の廃炉費用の不足が216億円というのが分かった」との発言がありました。不足分の具体的な中身を教えてください。また、どうしてそういう事態になったのかも教えてください。
②、216億円の不足分はどのようにして回収する予定でしょうか。
③、その他の原発の不足分に変化はないでしょうか。