原発からまた放射性物質の大量放出があったのでは?福島県のモニタンリングポストで異常な放射線量を記録 2015年4月2日~4月8日

(初出 2015年4月9日 7:32am)

(加筆・修正 2015年4月15日 5:49am)

モニタリングポスト:放射線量計測器に異常 約30台 通常値の1000倍表示も 福島
毎日新聞 2015年04月08日 東京朝刊

 福島県は2015年4月7日、空間放射線量を計測するモニタリングポスト約30台で異常を示したと発表した。周辺の複数のモニタリングポストの数値に異常がなく、県は、測定データを伝送する際に不具合が起きたとみている。修理か交換かを検討する。

 県によると、異常を示したのは、県が2015年3月末に設置し、4月から試験運用を開始した簡易型モニタリングポスト77台のうちの約30台。南相馬市や伊達市など7市町村に及び、南相馬市と葛尾村の計2台では通常値の約1000倍に上昇した。

 2015年4月3日に南相馬市の2カ所で異常に高い測定値が出たため、業者に確認するよう依頼していた。県放射線監視室は「公表は原因究明してからと考えた。異常を認識した時点で公表すべきだった」としている。【岡田英】

(編集者)実は、毎日新聞2015年4月8日朝刊25面にはもう1つ記事が掲載されていました。

2号機格納容器 温度計も異常値

 東京電力は2015年4月7日、福島第一原発2号機格納容器内の温度計が異常値を示したことを明らかにした。2015年4月3日午前5時に20.9℃だった温度が4月5日午後5時には88.5℃(67.6℃もの温度上昇……編集者注)まで上昇したことが、2号機の別の温度計は平常値を示しており、東電は「原子炉の制御には影響はない」としている。【鳥井真平】毎日新聞2015年4月8日朝刊25面

(編集者 注)

 福島県などで2015年4月2日~4月8日観測された、異常な空間線量は果たして、福島県の設置したモニタリングポストの計器不良が原因なのでしょうか?逆に、原子力規制委員会の設置しているモニタリングポストが1つも異常な空間線量を感知していないとしたら、原子力規制委員会の設置しているモニタリングポストが、「異常な空間線量を感知できない」設定になっている、疑惑があります。原子力規制委員会自身が、自身が管理運営をしている、モニタリングポストの計器を正しく調整なのではないでしょうか。

<異常な放射線量の急上昇>

福島県 南相馬市 よつば公園 異常な空間放射線量 ピーク  2015年

4.874マイクロシーベルト/時 4月7日2時

3.000マイクロシーベルト/時 4月7日8時

3.096マイクロシーベルト/時 4月7日10時

 

福島県 葛尾村 県道50号線もりもりランド入り口付近 異常な空間放射線量 2015年

ピーク

1.841マイクロシーベルト/時 4月2日16時
0.529マイクロシーベルト/時 4月2日20時
1.353マイクロシーベルト/時 4月3日0時
2.212マイクロシーベルト/時 4月3日6時
0.577マイクロシーベルト/時 4月3日8時
0.404マイクロシーベルト/時 4月3日11時
1.634マイクロシーベルト/時 4月4日5時
0.575マイクロシーベルト/時 4月4日10時
0.476マイクロシーベルト/時 4月5日17時

 福島県 葛尾村 浜井場北平線入り口 2015年4月5日14:00~4月8日15:00までデータが公表されていない。

福島県 葛尾村 井戸沢バス停 2015年4月1日15:00~4月5日16:00までデータが公表されていない。

福島県 葛尾村 大笹行政区掲示板付近 異常な空間放射線量 2015年 ピーク
1.35マイクロシーベルト/時 4月8日8時

福島県 葛尾村 木取場バス停前 異常な空間放射線量 2015年 ピーク
8.252マイクロシーベルト/時 4月5日19時

福島県 葛尾村 日山登山道入り口 異常な空間放射線量 2015年 ピーク
72.89マイクロシーベルト/時 4月3日10時

 九州の宮崎県でも、異常な空間放射線量の上昇を観測。ただし、降水の関係は否定できません。ただし、降水があるときは低気圧が通過するときであり、低気圧は近くの空気中にある放射性物質を集める働きがあります。普通の1.1倍くらいの濃度になった場合、その変化が顕著にわかるのは、低気圧が通過するときです。

 以下が、2015年4月8日に宮崎県宮崎市県衛生環境研究所で観測された、異常な放射線量のピークです。 

宮崎県 宮崎市 県環境衛生環境研究所 異常な空間放射線量 2015年 ピーク

地上1mに換算した空間放射線量率       地上20mでの県衛生環境研究所のモニタリングポスト 

0.051マイクロシーベルト/時 4月8日2時  同時刻 0.042マイクロシーベルト/時

0.056マイクロシーベルト/時 4月8日5時  同時刻 0.046マイクロシーベルト/時

0.047マイクロシーベルト/時 4月8日8時  同時刻 0.039マイクロシーベルト/時 

0.046マイクロシーベルト/時 4月8日11時  同時刻 0.038マイクロシーベルト/時

※ 現時点での普通は0.032マイクロシーベルト/時

   それでは原発事故前1年間(2010年3月12日から2011年3月11日)の宮崎県宮崎市県衛生環境研究所で観測された、空間放射線量率の最大はどれくらいなのでしょうか?日本の環境放射能と放射線のデータベースで調べてみました。原発事故前1年間の最大値は0.050マイクロシーベルト/時(2010年12月13日 県衛生環境研究所 モニタリングポスト 地上20mでのピーク)であり、原発事故前で最大値が0.050を超えたのは、この日1日1回だけです。

 

  それが、2011年3月11日から始まる原発震災の結果、最大値が0.050マイクロシーベルト/時を超える日が、年に7回も起きるようになってしまいました。2015年4月8日午前5時の宮崎県衛生環境研究所の空間線量率(地上20mにある)0.046マイクロシーベルト/時は、の0.050まではいきませんでした。0.046を超える最大値は、原発事故前1年間では年7回、原発事故後1年間では年11回がありました。2015年4月8日の宮崎県の異常な空間線量率は、原発事故前は1年間に1回のレベル、原発事故後は1年に7回のレベルだと、書きましたが、お詫びして訂正します。

 原発事故1年間(2011年3月12日から2012年3月11日)の宮崎県宮崎市県衛生環境研究所における、空間放射線量率の最大値。

宮崎県 宮崎市 県環境衛生環境研究所 空間放射線量の最大値 原発事故後 2011年3月12日~2012年3月11日0.0500マイクロシーベルト/時を超える空間放射線量 

県衛生環境研究所 モニタリングポスト 地上20mでのピーク

0.0621マイクロシーベルト/時 2011年6月5日2時
0.0508マイクロシーベルト/時 2011年6月7日5時
0.0524マイクロシーベルト/時 2011年10月21日8時
0.0546マイクロシーベルト/時 2011年12月8日11時
0.0613マイクロシーベルト/時 2012年2月15日2時
0.0568マイクロシーベルト/時 2012年2月28日5時
0.0575マイクロシーベルト/時 2012年2月29日8時

※ 原発事故1年間の空間線量率の平均値は0.0271マイクロシーベルト/時
※ 原発事故1年間の空間線量率の平均値は0.0270マイクロシーベルト/時

1年間の平均値にすると、原発事故などないことになる、ということです。やはり、原発事故後年11回起きていたピークに相当する、放射性物質の放出があった、とは言えそうです。ただし、それは原発事故前に年7回起きるレベルでもありました。このデータだけからでは、福島からの放射性物質とは断定できません。しかし、全国的な4月8日のピーク、そして、福島県各地での異常なピークを総合的に勘案すると、福島由来である、と考えるべきだと思います。

 原発事故1年間の宮崎県 宮崎市 県衛生環境研究所の空間放射線量率(地上20m) 日最大値のグラフ