『美味しんぼ』の「福島県取材に入ったら鼻血が出た」が福島差別につながるか、という論争になっています。

 2014年5月7日、双葉町もこの『美味しんぼ』第604話発行によって、「県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話が寄せられており、復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせている」「双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになる」と抗議声明を出しています。

 その一方で、この双葉町の抗議声明も「原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません。」として、「原因不明の鼻血がでた町民」が「大勢」いることを否定しつつ、暗に「ある程度」の数の「原因不明の鼻血がでた町民」がいることを示唆しています。

双葉町『小学館発行『スピリッツ』の『美味しんぼ』(第604話)に関する抗議について』

 そもそも、埼玉県加須市に全村避難した住民約1200人のうち、167人が1年10ヶ月の間に亡くなっています。

ブログ 大川原有重 春夏秋冬さん
『福島県双葉町から埼玉に避難した被災者 1年10ヵ月で167名が亡くなる』

 実に14%に町民が亡くなったことになります。井戸川克隆元町長は、福島県双葉町に戻ることは不可能であると考え、新たな町を他県に作るべきであると考えていました。政府、福島県の住民の健康無視、強制的な帰還、被ばくした住民が死ぬのを待つやり方に抗議をし続けてきました。政府や福島県は年間1ミリシーベルトを守らず、年間20ミリシーベルトまでを帰還させる方針です。井戸川克隆氏はこれに対し、「年間1ミリシーベルトを守られない、私たちは日本国民ですか。」と政府に問いました。そして、町長が独断、横暴であり、帰還を目標とする「復興事業」が進まないとして、双葉町町議会議員からリコールされたのでした。

 福島県野菜を食べないのは、内部被ばくを避けるために、必要なことです。本日、5月10日、13時30分より、さいたま市産業文化センター(与野駅または与野本町駅から徒歩15分)で、ウクライナに5回の調査に入った、小若順一さん(食品と暮らしの安全基金)講演会があります。そこでは、チェルノブイリ事故から28年たったウクライナの各町で、大人も子どもも頭痛や鼻血、足痛を訴えています。その地域の畑土壌から放射性物質の作物への移行を少なくするよう、カリウムの化学肥料を提供したら、頭痛、鼻血、足痛が改善した、中には、まったく痛くなくなった大人、子どもがでてきたという報告が行われます。

チェルノブイリの健康被害「子どもの痛みをなくす調査プロジェクト」第5回報告会「希望」

日時:2014年5月10日(土)13:30~(開場:13:10)

◇参加費:500円

◇場所:さいたま市産業文化センター ホール

◆チェルノブイリ原発から南東に400kmほど離れたロゾヴァ市リツェイ学校 11年生(17~18歳)

  手が痛い人  0人
  足が痛い人  0人
  風邪をひきやすい人、熱が出やすい人 0人
  頭がくらくらする人、めまいがする人 0人
  首が痛い人、のどが痛い人      0人
         ↓
 この地域の野菜 セシウム137 すべてND(不検出)。検出限界0.01ベクレル/kg

◆チェルノブイリ原発から西に125kmほど離れたモジャリ村
  足が痛い生徒 6~7割
  「子どもたちは元気ですか?」モジャリ村学校副校長「みんな病気よ」
  「足が痛い子は?」     モジャリ村学校副校長「たくさんいるわよ」
         ↓
 この地域の土壌 セシウム137  127ベクレル/kg これは現時点のさいたま市の汚染に近い。

         ストロンチウム90 65ベクレル/kg 

 この地域の野菜中のセシウム137
  コケモモ 25ベクレル/kg
  ライ麦  10ベクレル/kg
  牛乳    5ベクレル/kg
  ポテト   2ベクレル/kg
  チーズ   2ベクレル/kg
  リンゴ、リンゴジャム、クルミ、小麦・カラス麦、ニンジン 1.3ベクレル/kg未満
 セシウム137の最大値
  キノコ  26670ベクレル/kg
  ベリー   6600ベクレル/kg
  蜂蜜    3350ベクレル/kg

 ということは28年後のさいたま市の蜂蜜も半分くらいの汚染度になるのか?(セシウム137
の半減期が30年なので)

◆無痛地帯に一番近いが、痛みが出ていた村
 チェルノブイリ原発から南東に150km離れた村 ノヴィ・マルチノヴィッチ村学校
 25名 10、11年生(15~17歳)と父母

  足が痛い人            1人(11歳から)
  (この子は「頭が痛い」「自律神経失調症」「鼻血が出る」でも手を挙げた。キノコはよく食べる。)
  頭が痛い人           18人 (72%)
  自律神経失調症の人        5人 (20%)
  鼻血がでる人          13人 (52%)
  風邪をひきやすい人       12人 (48%) 
  風邪でよく学校を休む人      8人 (32%)
        ↓
  ノヴィ・マルチノヴィッチ村議会議長に用意してもらった子ども1日分の食事

  子ども1日分の食事中のセシウム137
   サンプル名   重量(g)  1食あたりのベクレル数
   肉のスープ    450      0.495
   赤いボルシチ   400      0.28
   蒸しじゃがいも  550      0.66
   酢漬けトマト   350      0.525
   ブラック・カラント・ジャム
            400      0.4
―――――――――――――――――――――――――――――
    合計     2150     1日2.36ベクレル          
  1kgあたりに換算すると、セシウム137が1.1ベクレル/kg。この食事を摂り続けていくと、上記の健康被害になる可能性があるということを示唆してます。  

     ↓
  この地域の土壌 セシウム137     7ベクレル/kg 
          ストロンチム90   3ベクレル/kg  

※このセシウム137は非常に低い。しかし、住民は畑に木炭の灰を撒いていた。土壌のセシウム8ベクレル/kgの場所で、木炭の灰は263ベクレル/kgであった。

 まず、放射性物質入りの食べ物、セシウム137で1ベクレル/kgでも食べ続けていくと、頭痛、鼻血、足痛の症状が出るということを、小若順一氏らは調査してきました。政府、文部科学省と現在交渉を開始しています。

 学校給食の食材をセシウム137を1ベクレル/kg以下にしろ、と。

 福島県の試験操業が始まり、築地にも魚が入ってきています。
朝日新聞デジタル『福島)3年越し いわきの試験操業の魚、築地に初出荷』2014年5月9日

 福島県いわき市沖で獲れたヤナギムシガレイは放射性セシウム合計 13ベクレル/kgと報じられています。

子どもも大人も食べるべきではない、と考えます。

 ちなみに、『美味しんぼ』原作者の雁屋哲氏は、2011年11月からの1年間で3回現地を訪れています。オーストラリアの情報を紹介している日本語ミニコミ紙「日豪プレス」記者から現地の放射能被害について聞かれ、雁屋さんは、目に見えないのが怖いとして、自らの体験をこう語っています。「取材から帰って夕食を食べている時に、突然鼻血が出て止まらなくなったんです。なんだこれは、と。今までの人生で鼻血なんて出すことはほとんどなかったので驚きました。その後も夜になると鼻血が出るということが何日か続きました」
 病院に行っても、放射能とは結び付けられないと言われたといいます。雁屋さんは、さらに疑問を投げかけています。「取材後にすごく疲労感を感じるようになった」、同行スタッフや当時の福島県双葉町の町長も、鼻血や倦怠感に悩まされていたと話しました。現地の子供たちもだるさを訴えていたとし、「あの周辺は人は住んではいけない所になってしまった」と漏らしています。
 雁屋さんは、福島の食べ物を食べて応援することも疑問だと言っています。特に、漁業は、何十年経っても復活は無理なのではと指摘し、東北地方の海産物の多くについて、「恐らく食べられなくなるでしょうね」と言っています。

「福島取材で鼻血が止まらなくなった」 「美味しんぼ」雁屋哲インタビュー記事が物議
2014/1/15 19:48 J-CASTニュース より転載・引用