原発周辺の活断層が引き起こす地震動を見積もる計算法には2つあります。

 断層モデルと、耐専スペクトルです。

 日本政府と九電力は断層モデルを採用していますが、想定する地震動は、意図的により小さく見積もられています。

 この断層モデルが想定する地震動が、原発の耐震設計の基準である基準地震動(Ss)を大きく下回るので、その原発は想定する地震に耐えられるというのが、政府と九電力の主張です。

 しかし、耐専スペクトルを使って、原発周辺の活断層が引き起こす地震動を見積もると、断層モデルの2~3倍の地震動へと増加してしまいます。

 これは基準地震動(Ss)に迫るもので、全国の原発の耐震性をおびやかすので、政府・九電力は、耐専スペクトルの採用を避けてきました。

  しかも、この耐専スペクトルでさえ、原発に近いと想定される活断層が引き起こす地震動は、評価の対象から外されているので、原発から遠く離れ活断層が引き起こす地震動しか想定していません。

 ですから、2008年の岩手宮城内陸地震で観測された、1000ガルを超えるような、強烈な地震動はあえて無視されています。

 だから耐専スペクトルは、さらに1.5~4倍強い地震動を想定しなければなりません。

 そうなった場合、新たに想定される耐専スペクトルは、基準地震動(Ss)を超えてしまい、全国の原発は、耐震性が立証できなくなります。

 このようなイカサマの地震動評価を、政府に改めさせる必要があります。

 川内・玄海原発の基準地震動は1500ガル以上へ大幅に引き上げるべきです。

ー3・18 原子力規制委員会との交渉よびかけ文より(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、原子力資料情報室、若狭連帯行動ネットワーク事務局担当)

九州電力リーフレット 玄海・川内原子力発電所の安全対策について pp.10より

※ ガルとは 加速度の単位。1ガルは、1秒(s)に1センチメートル毎秒(cm/s)の加速度の大きさ。1 Gal = 0.01 m/s²。地球表面における重力加速度はおよそ981ガル(重力加速度)。

※ 世界最大の地震による加速度は、岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日)の際に岩手県一関市厳美町祭畤で観測した4022ガル。