緊急被ばく医療研修より
http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/3_3_1.html
癌治療線源盗難事例1:ゴイアニア事故 廃院に放置されていたセシウム(Cs137)線源の入った回転照射体が2人の若者により取り外されて持ちだされました。この段階から2人の放射線被ばくが始まり、2~3日後から2人は下痢、目まいなどに悩まされ始めました。1週間後には線源容器に穴を開けることに成功し、この時点から放射能汚染が始まりました。セシウム(Cs137)は極めて水に溶けやすく散らばりやすいため、汚染地域が拡大し、広範な環境放射能汚染と多数の人々の被ばくが生じました。事故当時前放射能は50.9TBqでした。
検査の結果、14人がリオデジャネイロ、6人がゴイアニアの病院に入院しました。セシウムが体内に取り込まれ内部被ばくが生じていたため、体内に取り込まれたセシウムの排せつのためプルシアンブルーが投与されました。6歳の少女、38歳の女性、22歳、18歳の男性、計4人が4週間以内に出血や敗血病などの急性障害で死亡しましたが、その線量は4.5~6Gyと推定されました。同程度の被ばくで2人が生き残りました。また1名は腕を切断されました。周辺の放射能の測定も行われ、特に汚染が著しい7軒の家屋は解体し、撤去され、高汚染茎の表土が入れかえられました。
癌治療線源盗難事例2:タイ被ばく事故
2000年2月、タイで、コバルト(Co60)を装着した遠隔放射線治療装置が線源交換を行わずに使用不能になった後、線源を収納した治療器のヘッドが持ち出され、解体されました。解体に引き続いて金属片をスクラップは、別のスクラップ業者が所有するスクラップ処理場に持ち込ましたが、関係者が次々と指のはれや複数の症状(激しい頭痛、嘔気、嘔吐など)を訴え、病院に運ばれました。不快症状を訴えて来院した複数の患者の容態から、急性放射線症の疑いを抱いた医師により事態が発覚しました。10名の重度の被ばく者が発生し、4名は6Gy以上でした。その内の3名が被ばく後、2か月以内に死亡しました。