市民と科学者の内部被曝問題研究会 2013年度総会および研究報告会
2013年6月15日、16日 日比谷図書文化館地下コンベンションホール
○ 6月15日
総 会 13:30〜16:00
休憩 16:00〜16:20
〈一般講演 Ⅰ〉 16:20〜17:20
16:20〜16:40 沢田昭二 放影研の「黒い雨」に関する見解を批判する
16:40〜17:00 牛山元美 内部被ばく問題に臨床医としてどう関わっていくか
― ベラルーシ研修、被ばく関連検診の報告
17:00〜17:20 大沼淳一 市民放射能測定センター(Cラボ)が取り組んできたこと
休憩 17:20〜17:30
〈特別講演 Ⅰ〉
17:30〜18:40 島薗 進 つくられた放射線「安全」論
○ 6月16日
〈一般講演 Ⅱ〉 10:00〜12:20
10:00〜10:20 吉木 健 汚染と「除染」
10:20〜10:40 土居保良、松井英介、松井和子、肥田舜太郎 乳歯を保存するプロジェクト
― ストロンチウム90の内部被曝追跡調査 ―
10:40〜11:00 生井兵治 自然核種と人工核種の大きな差異の証明
―― 自然放射性カリウムK-40のリスクは無に等しい
11:00〜11:20 川根真也 ベラルーシ報告 ―― 日本が学ぶべきこと
11:20〜11:40 地脇美和、松井英介、松井和子 IAEAが福島に常駐する目的とは?
~IAEAとWHOがチェルノブイリで行ったことから、考える
11:40〜12:00 松井英介、井戸川克隆、梶村太一郎
もうひとつの選択肢=「脱ひばく」集団移住権利法実現の課題と展望
12:00〜12:20 田中一郎 (脱原発・脱被曝・被害者完全救済を実現しよう)
これからの「市民と科学者の内部被曝問題研究会」への提言
昼食休憩 12:20〜13:10
〈一般講演 Ⅲ〉 13:10〜13:50
13:10〜13:30 柳原敏夫 ふくしま集団疎開裁判――世界は見ている
(2013年4月24日仙台高裁判決)
13:30〜13:50 大石光伸 関東における被ばく線量評価をめぐる市民による測定
〈特別講演 Ⅱ〉
13:50〜14:50 太田昌克 3・11が啓示する教訓とは何か
―「救護の不可能性」という核の非人道的帰結
休憩 14:50〜15:00
〈特別講演 Ⅲ〉
15:00〜16:00 西尾正道 放射線健康被害の未解明な医学的課題について
〈特別講演 Ⅳ〉
16:00〜17:00 矢ケ﨑克馬 放射線防護と人権 ― チェルノブイリ法と福島原発事故被災
(講演課題などには、一部変更があるかも知れません)
-地図と交通アクセス-
http://hibiyal.jp/hibiya/access.html
◎東京メトロ 丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」C3(※C4出口工事中)・B2出口より徒歩約5分
◎東京メトロ 千代田線・日比谷線「日比谷駅」A14出口より徒歩約7分
◎都営地下鉄 三田線「内幸町駅」A7出口より徒歩約3分
◎JR 「新橋駅」日比谷口より徒歩約12分
市民と科学者の内部被曝問題研究会 研究発表会 予稿
講演演題 「ベラルーシ報告ーー日本が学ぶべきこと」
川根眞也(内部被ばくを考える市民研究会)
2013年3月17日〜23日ベラルーシに行ってまいりました。高放射能汚染地帯ゴメリ州に行き、甲状腺がんの発症状況を現地医師から伺い、甲状腺を全摘出した被害者の方々の聴き取りをしました。首都ミンスク市、大人の甲状腺がんが多発しているブレスト州に行き、甲状腺がんの診断と治療の実際について日本人医師とともに研修を受けてきました。現地ベラルーシの医師は甲状腺がんは、放射性物質誘発がんであり、微量なヨウ素131の摂取でも発症しうる、と話してくれました。現地ベラルーシの報告とともに、日本の子どもたちにこれからどんなことが起きる可能性があるのか、それを報告します。
福島県の県民健康管理調査検討委員会は2013年2月13日、新たに2人の子どもが小児甲状腺がんと診断されたと発表しました。昨年9月に1人の子どもについて診断が発表されていますから、合計3人です。また、7人についても疑いがあるとも発表されています。
しかし、県民健康調査検討委員会座長の山下俊一氏は翌月3月11日にアメリカNCRP(全米放射線防護・測定審議会)年次総会の記念講演で、福島から10人の小児甲状腺がんの患者が見つかったというスライド発表をしています。
この10人は平成23年度甲状腺エコー検査から見つかっています。平成23年度調査は、福島県の双葉町、大熊町、浪江町、飯館村、富岡町、川俣町、川内村、田村市、葛尾村、南相馬市、伊達市、広野町、楢葉町、など警戒区域等避難区域の子どもたちが対象で、38114名が受診しました。原発事故前の日本の小児甲状腺がんの発症率は10万人に0.2人。38114名中10名とは、10万人あたり26.2人の発症率となります。明らかに異常な発症率であり、これを放射能と無関係とすることは無理があります。
福島県立医大の鈴木眞一氏は「甲状腺がんは最短で4~5年で増加したというのがチェルノブイリの知見。(事故後1年半から2年の)今の調査では、もともとあったがんを発見している」とし、福島第一原発事故による影響を否定しています。ベラルーシでは事故後3年目から小児甲状腺がんが目立ち始め、4年目には原発事故の影響が決定的になりました。1986年ベラルーシ全国で発見された小児甲状腺がんは2人、それが1987年には4人に倍増しています。1988年5人、1989年7人、1990年29人、1991年59人です。1990年ごろから超音波エコー検査が行われるようになり、1991年から山下俊一氏も笹川基金の協力を得て、「チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト」の主要なメンバーとして、ベラルーシ(2地域)、ウクライナ(2地域)、ロシア(1地域)、約12万人の検査を行っています。山下俊一氏はこれから何が日本で起きるかを知っています。
高放射能汚染地帯ゴメリ州では事故当時0歳だった女性、7歳だった男性、44歳だった女性から聴き取りを行いました。それぞれ甲状腺んがんにかかり、甲状腺を全摘出しています。事故当時44歳だった女性は、現在71歳。ほとんどの内臓器官、胃腸、婦人科の病気にかかっています。
ゴメリ州の廃村で空間線量を測定しました。堀場製作所のRadi PA-1000で、廃村A 0.101マイクロシーベルト/時 廃村B 0.188マイクロシーベルト/時 廃村C 0.061マイクロシーベルト/時(ここはストロンチウム90の汚染がある地域) 廃村D 0.433マイクロシーベルト/時(ここは現在でもセシウム137の汚染が40キュリー/km2=148万ベクレル/m2ある)でした。事故から27年経っているので、当時の空間線量は現在の約2倍ほどではないか、と推測されます。日本の感覚では恐ろしく低いと思われるのではないでしょうか。この数値で廃村が決定され、住民が強制的に移住させられています。それは、ソ連が数々の核実験や核事故に学んだからであり、また現実に村人が次々と健康を害して倒れていったから、この数値で廃村になったということでもあります。
日本で除染の基準とされている、0.23マイクロシーベルト/時は異常な数値です。ベラルーシでは廃村が決定される数値です。日本でも土壌汚染による移住区域を決めるべきです。
また、移動式検診車(超音波検査機と検査技師、内分泌の医師が同乗)がベラルーシでは甲状腺がんの患者を発見するのに効果を発揮しました。(現在でも活動中)日本でも導入すべきです。
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