茨城県つくば市にある、産業総合技術研究所つくばセンターでは、2011年3月15日から4月8日まで、毎日1時間、1m×1.5mのビニールシートに落ちた放射性物質の濃度を測っていました。

 この空気を関東地方で生活する人々も吸っていたということです。ちなみに、

 Te-132とはテルル132です。I-131、I-132、I-133とはヨウ素131、ヨウ素132、ヨウ素133のことです。Cs-134、Cs-137とはセシウム134、セシウム137のことです

 つくば市でも2011年3月15日の9:20~10:20にはヨウ素131をたった1時間だけで124ベクレルほど吸っていたということです。そして放射性ヨウ素はヨウ素131だけでなく、ヨウ素132、ヨウ素133も大量に出ていました。この時間、放射性ヨウ素だけで合計178ベクレル。1時間に大人なら、178ベクレル、放射性ヨウ素を吸った可能性があります。

 それは、大人が1日24時間に吸う空気の量は24m3(たて1m×よこ1m×高さ1mの空気24個分)だから。つまり、1時間に1m3吸うということ。ちょうど、このつくば産総研が測定したブルーシート1m×1.5mの上に落ちたチリの量がその場所にいた人間が吸った空気の量と思っても、大きな間違いはありません。子どもは大人の約7割、16m3の空気を1日に吸うと言われています。ですから、3月15日のその時間の空気を1時間吸うと、178ベクレルの7割、124ベクレルを1時間に吸った計算になります。

 2011年3月15日、日本政府も各都県自治体も、屋内退避や安定ヨウ素剤の服用の指示も出しませんでした。関東地方に生活する人々は何も知らずにこの空気を吸っていたことになるのです。

 この放射性物質の健康影響をミリシーベルトで計算する学者が多々います。しかし、放射線の影響には非常に大きな個人差があり、ある人には大丈夫でもある人には深刻な健康被害をもたらすことがあることを忘れています。

 2011年3月15日に関東地方に生活していて、甲状腺がんを発症する、子どもや大人 がいても不思議はない、と考えます。低線量被ばくには、しきい値と呼ばれる(これ以上被ばくしたら病気になるが、これ以下なら病気にならないとされる被ばく量)がありません。

 放射性物質を少しでも吸いこむことは、多かれ少なかれリスクを背負うことになります。

 2012年6月21日、原発事故子ども・被災者支援法(東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律)が制定されました。この法律には「一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住」するまたは居住していた者を対象としています。現在、この一定の基準がはっきりと定められていません。

東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律 20120621

 外部被ばくで年間1ミリシーベルトとするならば、政府の算定では0.23マイクロシーベルト/時以上になります。これは明らかに高すぎる数値です。

 外部被ばく線量だけで基準を決めるのではなく、内部被ばくを正当に評価して基準おを決めるべきだと思います。

出典:つくばセンター放射線測定結果 産業総合技術研究所(産総研)