汚染土焼却灰に雨、セシウム溶出心配 近畿大

朝日新聞 2012年5月22日朝刊

  放射性物質に汚染された下水汚泥や土は、焼却すると雨水などにさらされた際に放射性セシウムが溶け出しやすくなることが、近畿大の実験でわかった。焼却灰を粘土と混ぜることで、溶け出しを防げるという。

 近畿大の山崎秀夫教授(環境解析学)らは福島県南相馬市の汚染土壌やその焼却灰に少量の雨水を加えて2時間振り混ぜ、放射性セシウムがどれだけ移るかを調べた。

 すると、汚染土そのままでは、雨水にセシウムの移行はなかったが、焼却すると0.11%が移り、セメントを加えると2.87%に上がった。粘土を混ぜると移らなくなった。粘土は兵庫県淡路島産の瓦用を使った。

 セシウムは下水汚泥や土壌中では、含まれる粘土と強く結びついていて動かない。焼却することで粘土が壊れ、溶け出しやすくなるという。アルカリ性のセメントを混ぜるとさらに溶けやすくなるらしい。

 汚染された汚泥や土は東日本各地で見つかり、処分が問題となっている。焼却灰は、放射性セシウム濃度が1キロあたり8千ベクレル以下なら埋め立てできる。東京都などは灰にセメントと水を混ぜて処分場に埋め立てている。引受場所がなく下水処理施設に積まれている自治体も多い。山崎教授によると、焼却灰に粘土を加えてコンクリートにすれば、低コストで安全に埋め立てられるという。(鍛治信太郎)