[解説]

 いつか史上最大の台風が来ることは分かっていました。フレコンバックは耐用年数は3年。借り置き用のもの。東京電力福島第一原発当時1年目、2年目、3年目の除染フレコンバックは、5年も経ち、ボロボロで中から草木が生え出しているのもあります。

 人々に「除染しましたよ」というアリバイ作りのフレコンバック除染。福島県沖を含めて大量の除染土壌が太平洋側に流れ出しています。何も55袋だけの問題ではありません。阿武隈川も氾濫しています。阿武隈川の川底には、相当の原発放射能が堆積していました。海にこれが一気に流れ出ました。

 NHKは「環境省によりますと、周辺の空間線量の値に影響は見られないということです。」と報道していますが、空間線量は、放射能を測る手段ではないです。流れ出したフレコンバックの中の核種(放射性物質の種類)と放射能(ベクレル/kg)を残っているフレコンバックの除染土壌を測って推計すればいいのです。環境省のやっていることは詐欺に近いです。

 これから、日本の太平洋側の水産物の放射能汚染が再び上昇するのは間違いありません。産地を選んで、水産物を食べるべきです。

 ウェザーニューズが報じた、大雨特別警報の地域と、東京電力福島第一原発事故による放射性セシウムの積算沈着予想(2011年3月12日~5月1日)が、ぴったりと重なります。台風19号が、森林、大地、河川の大規模な除染をした、と考えられます。放射能は半減期に従い崩壊していきますが、除染で消えてなくなるのではありません。移動するだけです。環境省は「空間線量が…」などと子ども騙しの説明を言うのではなく、今回の台風19号によって、どんな核種が何ベクレル太平洋側に流れ出したのか、推計を出し公表するべきです。

除染廃棄物が55袋流出

2019年10月18日 14時00分  NHK福島放送局

環境省は、台風19号の大雨で、除染廃棄物の仮置き場が浸水するなどして、55袋が流出したと発表しました。
周辺の空間線量の値に影響は見られないということです。

環境省によりますと、台風19号を受けて、県内に760か所ある仮置き場に保管されている除染廃棄物の状況を調査した結果、17日までに、あわせて55袋の流出が確認されたということです。
自治体別では、田村市で21袋、川内村で18袋、二本松市で15袋、飯舘村で1袋となっています。
このうち、二本松市の15袋は、市が探しているものの、見つかっていないということです。
原因については、田村市、二本松市、それに飯舘村では、仮置き場のフェンスを上回る高さまで浸水したこと、川内村では、仮置き場が崖の上にあり、土砂崩れで崖の下に崩落したことで、それぞれ流出したとみられるということです。
環境省によりますと、周辺の空間線量の値に影響は見られないということです。
一部の仮置き場ではまだ調査できていないということで、環境省は、「流出した除染廃棄物はひとつ残らず回収していく。今回の流出の原因を検証し、再発防止策を検討する」とコメントしています。

【田中復興相 ”丁寧な説明できるようにしなければならない”】
田中復興大臣は、閣議のあとの記者会見で、「関係機関によって対応が進められているが、まずは流出の状況をしっかりと把握することが重要だ。地域の人たちにとっても非常に大きな関心事なので、放射能の関係についても十分調査をして、丁寧に説明ができるようにしていかなければいけない」と述べました。