[解説]

 東京都は、昨年2018年3月に、過去最大規模のスーパー台風が、首都圏を襲来した場合の被害想定を出していました。今回2019年10月12日,13日に首都圏を襲来する台風19号(台風ハギビス)がまさに史上最大の勢力のまま、横浜、東京から上陸しようとしています。日本経済新聞が報じた記事を紹介します。

「東部を中心に23区の3分の1の面積にあたる約212平方キロメートルが浸水。堤防の決壊などで、広範囲にわたって1週間以上、水が引かない地域が発生すると予測」

  この東京都の被害想定が起こりうる、として、災害対策、避難準備を行う必要があります。2階以下に居住する方で、浸水5メートルと想定されている地域に居住されている方は今すぐ避難するべきだ、と考えます。史上最大の台風が来る、ということは、これまでの経験にないことが起きるのだ、と肝に銘じて、命を守る最善の行動を採って下さい。

「スーパー台風」高潮で東京23区の3割浸水 都が想定

一週間以上水が引かない地域も

2018年3月30日 日本経済新聞
 

東京都は30日、過去最大規模の「スーパー台風」が上陸し、高潮が発生した場合に想定される浸水区域図を発表した。東部を中心に23区の3分の1の面積にあたる約212平方キロメートルが浸水。堤防の決壊などで、広範囲にわたって1週間以上、水が引かない地域が発生すると予測している。都と各区は想定をもとに住民の具体的な避難方法などの検討を進める。

政府は、2015年に水防法を改正。最大規模の高潮を想定したハザードマップの作成や、スムーズな避難などの対策を自治体に求めた。

都が発表した浸水想定区域図は同法に基づいて作成。1934年に史上最大の勢力で高知県・室戸岬付近に上陸、高潮などで約3千人の死者を出した室戸台風と同等の910ヘクトパスカルの台風を想定している。

都は17区で住宅などが水につかる被害が出ると予測。地盤が低く、河川が近くを流れる墨田区、葛飾区、江戸川区は区域の9割が浸水する。丸の内や新橋、銀座の一部など、オフィス街や繁華街にも浸水域は広がり、浸水域内の昼間人口は約395万人に達するとしている。

浸水の深さは最大で10メートル以上。墨田区や江東区などでは深さが平均7メートルになるエリアが広がる。

高潮による堤防の決壊や、排水施設が停止する可能性を踏まえ、浸水の継続時間も試算した。50センチ以上の浸水の深さが1週間以上続く区域は都東部を中心に約84平方キロメートルに及ぶ。

都は今回公表した区域図をもとに、19年度までに、住民の避難勧告の基準となる高潮の「特別警戒水位」の設定を進める。各区にも高潮時のハザードマップ作りを促す。

浸水想定区域では、大きな被害予測に驚きや戸惑いの声が広がった。浸水深が5メートル以上と想定される東京都江東区亀戸駅周辺。無職の女性(71)は「このあたりは水はけが悪く、たびたび台風や大雨で浸水被害が起きている。近くの高層マンションに逃げようにも中に入れてもらえないかもしれない」と心配する。

商業施設が集まる銀座の東部でも1~3メートル以上まで浸水する見通し。東京メトロ東銀座駅近くで岩手県の産物を販売する「いわて銀河プラザ」の清水吉彦副店長(40)は「こんな繁華街が3メートルも水につかるなんて想像もできない」と驚いた。防水板の備えはあるが「防げるのは1メートルくらいの浸水まで。水が来たらビルの上に逃げるしかない」と話した。

想定は1千年に1度クラス 「災害大型化へ備え必要」

 東京都が発表した高潮の浸水被害の想定は「室戸台風の規模を持ち、伊勢湾台風のスピードで進み、東京に最も被害を与えるコースを通る」という前提に基づいている。
 こうした状況が発生する確率は1千~5千年に1度。担当者は「海外で多発する台風や高潮による災害を踏まえ、大きな被害を想定して備える必要がある」と意義を強調した。
 2005年に米国を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」(死者1800人以上、避難者約130万人)や、13年のフィリピンの台風30号(死者・行方不明者7千人以上、避難者約400万人)など、近年、海外では大規模な高潮災害が頻発する傾向にある。
 地球温暖化に伴う海面水位の上昇や台風の大型化が進むことを指摘する声もある。今のところ日本に接近する台風に温暖化の影響は明確には出ていない。ただ、台風の大型化のメカニズムは解明できていない部分があり、気象庁の担当者は「巨大な台風が上陸する可能性は否定しきれない」と指摘している。
 東京都の被害想定は、東京都港湾局の津波・高潮に関するホームページ(http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/yakuwari/takashio/index.html)で閲覧できる。