2019年6月24日夜中から、東京電力福島第一原発で、5号機6号機原子炉建屋上、1号機2号機原子炉建屋上、3号機4号機原子炉建屋上で大量の白煙が噴出していることを確認されています。
twitter,facebookをやっていない方には、初耳となる出来事かもしれません。こうした、東電福島第一原発での異常事態は新聞、テレビではまったく報道されません。自分で情報を取りにいかないと、知らぬままに被ばくすることになります。
是非、余裕がある方は、twitterで「cmk2wl @cmk2wl」さん、「大沼安史 @BOOgandhi」さんのツィートをチェックしてみて下さい。
<時系列>
2019年6月24日(月)23時28分 1/2号機原子炉建屋の上に「白い雲」のかたまりができた。[大沼]
23時30分 2号機上空に小さな白いかたまり、新たに発生し、追うように北へ。[大沼]
6月25日(火) 1時33分 噴火状態 さらに激しく。[大沼]
cmk2wl
<川根の分析>
問題はベントであれば、隠せないくらいの放射性物質の拡散があり、トリチウムだけで線量は上がりませんが、プルトニウム239やウラン238、ストロンチウム90やセシウム137、ヨウ素131も出ます。空間線量や福島県の環境放射線テレメータシステムにも数値として現れるはずです。
〇福島第一原子力発電所敷地境界ダストモニタ 2019年6月28日 21:00pm現在
6月24日は異常がない。しかし、6月25日の1時33分「噴火状態。より激しく。」あたりから上昇している。6月25日、6月26日、6月27日、6月28日午前0時あたりで計測値が1ベクレル/m3未満に。
(一番下の灰色のラインが1ベクレル/m3、2番目のピンク色が10ベクレル/m3。2番目のピンク色の10ベクレル/m3を超えると東電が警報を出す。)
〇福島県の環境放射線テレメータシステム
空気中の放射性物質濃度グラフ(6時間放置後測定) 福島県大熊町夫沢 2019年6月28日 20:21pm現在
(詳細データをダウンロードして見ると年間最高値は6月27日 朝6:00 アルファ線核種 0.201ベクレル/m3)
2019年6月28日までの1年間分のデータ。2019年5月26日 朝6:00に明らかなピークがある。ベータ線核種 0.617ベクレル/m3
<結論>
6号機が原因となって、放射能を出した可能性があります。ベントかどうかは分かりません。ベントであれば、もっと、アルファ線核種、ベータ線核種が出ても不思議ではない気がします。
また、5号機、6号機は2014年1月31日付けで廃炉が決定しています。原子炉に核燃料はないはずです。東電の資料を調べたところ、5号機、6号機ともに2015年、2013年に原子炉内の核燃料集合体を同機の使用済み核燃料プールへ移動した、という記述がありました。
[5号機]
5号機 2015年4月22日午前9時18分から原子炉内核燃料集合体の移動開始。
2015年6月1日午後4時18分に全ての移動作業が終了。
[6号機]
6号機 2013年10月21日午後1時50分から原子炉内燃料集合体の移動開始。
2013年11月29日午後1時23分に全ての移動作業が終了。
6号機の原子炉から核燃料集合体が本当に取り出されていたとしたら、この2019年6月24日~28日の「白い雲」、黒煙は何なのでしょうか。
疑問が残るのは、5号機、6号機の原子炉からの核燃料集合体の取り出しについては、ほとんど報道されていませんでした。4号機の使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しに報道が集中していたせいかもしれません。しかし、上記、東京電力の資料には、原子炉からそれぞれの号機に移動した核燃料集合体の体数が書いていないのです。電力会社が、原子炉から使用済み核燃料プールへ、または、使用済み核燃料プールから共用プールへ。はたまた、共用プールから六ケ所使用済燃料受入れ貯蔵施設へ移動される場合は、必ず、体数を明記するものです。何体移動させ、何体が残っているのか、を。奇妙なことに東京電力は、福島第一原発5号機、6号機の原子炉から核燃料集合体を、使用済み核燃料プールに移動された、としながら、その体数を明記していないのです。
本当に、原子炉に核燃料はないのですか?
今のところは原因特定はできません。しかし、現実に大量の「白い雲」や黒煙が2019年6月24日~28日が目で見て確認できたことは事実であり、原因は特定できませんが、この1年間で2番目に高い放射能が出たことは事実です。ちなみに、この1年間ももっとも高い放射能が出たのは、このちょうど1ヵ月前の5月26日、5月27日であることを考えると、一連の出来事であると考えざるを得ません。風下のみならず、日本全国、健康被害が起きる可能性があります。注意が必要です。
東京都で湿度が100%になった日はこの2019年6月24日からです。100%になった日 2019年6月24日,6月25日,6月26日,6月28日6月27日は100%になる時間帯はありませんでした。
1週間分の東京の天気を資料化しましたので、ご覧下さい。湿度100%のところを
ご確認下さい。
気象庁過去の天気 東京 1時間ごとの値 2019年6月22日~6月28日
つまり、この一連の「白い雲」は、湿度100%の時に原発から大量の蒸気が追加で出てきたため、と考えられます。東電福島第一原発は核燃料デブリがいつまでも熱を自ら出し、くすぶっているものを抱えています。たえず、大量の蒸気を発散させていると思われます。それが湿度100%のときに、顕著な「白い雲」を作るのではないでしょうか。「原発事故雲」「デブリ雲」です。
今回、6号機から大量の「白い雲」が出たことが意味するのは、6号機で何らかの1~3号機の核燃料デブリに相当する熱源がある、ということです。それは何か分かりません。
ただし、大量のトリチウムが含まれた蒸気であることは想像できます。
トリチウムを除去するにはどうしたらいいか、という問い合わせを多く受けています。
まず、内部被ばくの経路には3つあります。
(1)呼吸による気管からの摂取(吸気摂取)
(2)飲食の食事による摂取(経口摂取)
(3)皮膚からの摂取(経皮摂取)
です。(3)についてあまり知られていませんが、トリチウムとヨウ素131は皮膚からも吸収されます。原発事故直後、福島の子どもたちが学校に通う際に夏でも、長袖長ズボン着用を、呼びかけれたのは、皮膚からのヨウ素131
の摂取をできるだけ抑えるためでした。
今回、大量にトリチウムが出ているとしたら、飲み水に注意する(できるだけ遠方のものを手に入れるしかない)と同時に、皮膚からの吸収を抑える対策が必要になります。これはかなり難しいです。外出時はあきらめるしかないです。少し対策ができるすれば、室内で寝ているときに、呼吸および皮膚からできるだけトリチウムの吸収を押される対策を取るしかありません。
cmk2wlさんのツィートを参考に、考えてみました。
ちなみに、川根はウクライナ製のMKS-05でベータ線を測っていますが、これは、トリチウムに反応しません。MKS-05が対応できるベータ線のエネルギーは500keV(キロエレクトロンボルト)からです。トリチウムが出すベータ線は最大で18.6keV、平均は5.7keVだから、全然だめです。
また、同様に、ストロンチウム90の出すベータ線は最大で546keVなので、やはりMKS-05ではほぼ反応しないのです。しかし、ストロンチウム90の方は、ウランなどの核分裂でできた後、2週間後ならば、イットリウム90に壊変しているものがあり、ストロンチウム90のベクレル数とイットリウム90のベクレル数が同じになります。イットリウム90のベータ線エネルギーは、非常に強く、最大エネルギー2280keV。つまり、川根は持ち歩いている、ベータが測れる線量計は、イットリウム90に反応した可能性があるのです。つまり、本当にイットリウム90ならばそこには、同量のストロンチウム90がある、ということになります。
結論、MKS-05でストロンチウム90がやってきている(イットリウム90のベータ線に反応することで)は分かりますが、トリチウムは来ていることは分からないのです。
寝ているとき、自宅室内にいる時のトリチウム対策です。cmk2wlさんのツィートを参考にしました。
[寝ている時の放射能除去。トリチウムを念頭に。]
加湿器と除湿器が24時間稼働させる。扇風機も回す。室内に入ってきた放射能が室内の水蒸気とくっつき、除湿器が捕獲、という作戦。
除湿器がない場合は、クーラーの除湿機能でもOK。現在のクーラーは外気を取り込みません。調べたら「2003年から2006年にかけて販売していた一部の機種(酸素エアコン)では、室外の空気を取り込む機能が付いています。室外の空気を取り込みたくない場合は、酸素機能を取り消してください。」との記載がありました。
ですから、クーラーの除湿機能でも可能です。ただし、クーラーのフィルターが汚染され、その後は、そこを通して風がきます。
除湿器の場合は、水を捨てればOKですし、フィルターの交換も簡単です。
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