韓国の月城(ウォルソン)原発3号機で、計画予防整備に向け発電が停止する期間の開始初日、2018年6月11日午後6時45分ごろ、冷却材である重水3630キログラム(3.6t)が漏れ、当時作業中だった労働者29人が放射能にさらされました。韓国水力原子力によると放射能にさらされた労働者29人の被ばく量は平均0.39ミリシーベルト、最大で2.5ミリシーベルトでした。

 月城3号機では昨年2017年10月にも原子炉と連結されたバルブの故障で重水110キログラムが漏れた事故がありました。

 今回の事故に対し、慶北慶州環境運動連合は2018年6月13日に声明を出し、「官民合同調査を通じて再発防止対策をまとめなければならない」と主張した。同連合は「6月11日の冷却材漏出当時26分間バルブが開いていた経緯を明らかにし責任の所在を明確にしなければならない。作業者のミスでバルブが開かれたとしても、冷却材である重水が3630キログラムも排出される長い時間、バルブを遮断しないのは疑問だ」と明らかにした。続けて「冷却材漏出量に比べ作業者の被ばく量がとても低く報告されている。事故当時の三重水素濃度を正確に明らかにし、近隣住民に対する防護措置はどのようにしたのかも明らかにしなければならない」と付け加えています。

 つまり、この重水3.6tにはトリチウム(三重水素)も含まれています。

*** 転載開始 ***

 

*** 転載終わり ***

 新月城原発1号機では、2012年3月27日にも冷却水ポンプの故障で原子炉を停止させています。

*** 転載開始 ***

韓国原発また停止 試運転中にポンプ故障

日本経済新聞 2012年3月29日
【ソウル=共同】韓国政府系の原発事業者「韓国水力原子力」は29日までに、同国南東部慶州の新月城原発1号機が、27日夕方に原子炉冷却材ポンプの故障で自動停止したと明らかにした。

 新月城1号機は出力100万キロワットの加圧水型軽水炉で、商業運転に入る前の試運転中だった。

 同機は昨年12月に試運転が許可されたが、同じ日に試運転許可を受けた南部釜山の新古里原発2号機も、23日に蒸気発生器に水を供給するポンプのトラブルで緊急停止している。

 韓国水力原子力は、新月城1号機の停止について安全性に問題はなく、発生直後に政府の原子力安全委員会に通報したとしている。

 韓国水力原子力は、2月に韓国で最も古い釜山の古里原発1号機で全電源喪失事故が起きた事実を1カ月以上隠していたことが最近発覚した。釜山市議会が古里1号機の廃炉を求める決議を採択するなど、韓国水力原子力への不信感が高まっている。

*** 転載終わり ***

 韓国では、釜山古里(コリ)原発、慶北月城(ウォルソン)原発、慶北蔚珍(ウルチン)原発、全南靈光(ヨンガン)ハンビッ原発を中心に半径10キロ以内に5年以上住んでいる、あるいは住んでいたことのある甲状腺ガン発病住民301名が、2014年12月16日釜山地裁東部支所に損害賠償請求訴状を提出しています。すでに、2014年10月17日、古里(コリ)原発周辺地域10キロ内に20年間住んでいた住民の甲状腺がんの発症に対する責任がコリ原発にあるという1審の判決があった。これは、国内で最初に癌の発生に対する原発の責任を認めた判決として、原発事故が発生してなくとも、放射性物質を放出する原発が健康に危害を与える施設であるという事実を法的に認めた判決である。

*** 転載初め ***

韓国の原発周辺住民 甲状腺ガンに罹った301人が共同訴訟

ハンギョレ新聞 2014年12月17日 20:36 修正:2014-12-18 06:14
 
「韓水原の責任認定」判決後、損害賠償請求訴訟
 
家族1035人も慰謝料請求に参加

慶州環境運動連合と月城原発甲状腺癌被害者2人は16日午前、慶州市庁で記者会見を開き「法廷で韓国水力原子力(株)の責任を糾明し正当な被害補償を要求し、甲状腺癌被害者実態調査など慶州市の積極的支援を期待する」と明らかにした。 //ハンギョレ新聞社
 

 韓国で稼動中の原発4か所の周辺で暮らし甲状腺ガンにかかった住民とその家族1336人が、原発を運営する公企業である韓国水力原子力(韓水原)を相手に損害賠償請求の共同訴訟を提起した。

 「反核釜山市民対策委員会」、「慶州環境運動連合」、「霊光核発電所の安全性確保のための共同行動」、「核から安全に暮らしたい蔚珍の人々」など8つの反核団体は16日、「釜山古里(コリ)原発、慶北月城(ウォルソン)原発、慶北蔚珍(ウルチン)原発、全南靈光(ヨンガン)ハンビッ原発を中心に半径10キロ以内に5年以上住んでいる、あるいは住んでいたことのある甲状腺ガン発病住民301名が、同日釜山地裁東部支所に損害賠償請求訴状を提出した」と明らかにした。

 今回の共同訴訟には古里原発191人、月城原発46人、蔚珍原発30人、ハンビッ原発34人の原告が参加した。また、甲状腺ガンの発病により精神的・経済的被害を受けた原告の家族1035人が韓国水力原子力に慰謝料を請求した。

 共同訴訟に参加する原告と家族は1336人だ。損害賠償請求の金額は原告一人当たり1500万ウォン。原告の配偶者は300万ウォン、原告の親・子どもは100万ウォンの慰謝料を請求した。

 共同訴訟はこの10月17日、釜山地裁東部支所が古里原発周辺の住民パク氏(48)の甲状腺ガン発病と関連し、韓水原の責任を認めた判決に伴うものだ。

 訴訟代理人であるピョン・ヨンチョル弁護士は「甲状腺ガン発病の被害だけを問題にする今回の共同訴訟に、全国で稼動中の4つの原発周辺に住む301名の住民が原告として参加した。この事実だけでも今回の共同訴訟の意味は大きい」と話した。全国の原発周辺の住民301名が共同訴訟に参加したこと自体が、原発と甲状腺ガン発病との因果関係を裏付ける重要な実質的証拠になるということだ。

 ピョン弁護士は「韓水原は検診技術の発達のために原発周辺の住民の甲状腺ガンが急激に多く発見されただけと主張しているが、すでに発病していて、検診を遅れて受けた可能性もある」と話した。

 反核団体は今回の訴訟に参加していない甲状腺ガン発病住民たちまで考慮すれば、全国の原発周辺住民の相当数が甲状腺ガンで苦しんでいると言えると主張した。

 反核釜山対策委のチェ・スヨン共同執行委員長は「訴訟の原告を集める過程で、釜山の古里原発近くの一部の村では、二軒に一軒の割合で甲状腺ガン患者が発生していたことが確認された。夫婦が一緒にガンにかかるなど、一世帯で2人以上が甲状腺ガンにかかったケースも10件にのぼる」と話した。

 反核市民対策委のパク・ヨンス共同代表は「韓水原は甲状腺ガン発病の実態把握と根本的な対策樹立に乗り出すべきだ。全数調査を通して正確な被害規模と範囲を把握した後、放射性物質安全管理対策を立てなければならない」と韓水原に対策を要求した。これらの団体は今月中旬から来年1月末まで、共同訴訟第2次原告を追加募集する予定だ。

釜山/キム・ヨンドン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/society/area/669428.html 韓国語原文入力:2014/12/16 21:41
訳A.K(1421字)

*** 転載終わり ***

参考:『「甲状腺がんは、原発のせいだ」韓国 イ・ジンソプ裁判釜山判決  2014年10月17日』