2017年9月3日19:58pm記  川根眞也

<追記>2017年9月5日4:16am  川根眞也

    NHKは「北朝鮮が核実験」とだけ、報道。しかし、これは地上核実験です。風向きに注意。雨には当たらない。BBCも「米地質調査所USGSによると揺れの規模はM6.3で震源の深さは0キロ。『爆発の可能性がある』」と。震源0kmつまり地上核実験です。

BBC News Japan20179316:00pm
http://www.bbc.com/japanese/41139629

   ガイガー・カウンターをお持ちの方は、スイッチをオンに。異常な数値を観測したら屋内退避。屋内でも異常な数値なら、窓、ドアの隙間を濡れたシーツで覆う。安定ヨウ素剤の服用、N95マスク。

    現在、北朝鮮上に高気圧があり、反時計回りに風が吹き出してます。高気圧下では、風が上空から下に吹き下がり、反時計回りに風が吹き出します。つまり、北朝鮮の豊渓里核実験場(ブンゲリか)ら四方八方に、放射性物質は吹き出します。

 

 

  そして、北海道沖に低気圧があります。風は高気圧から低気圧に向かって吹きます。

   問題なのは、ヨウ素131やセシウム134、136、137だけでなく、ストロンチウム89、90、テルル129、132なども大量に放出。当然のことながら、ウラン234、235、238やプルトニウム239、240、241も。もし、北朝鮮が言うように、水爆実験であるなら、大量のトリチウムも放出されたはずです。

earth:地球の風、天気、海の情況
https://earth.nullschool.net/jp/

   水爆とは「原子爆弾を起爆装置として用い、核分裂反応で発生する放射線と超高温、超高圧を利用して、水素の同位体の重水素や三重水素(トリチウム)の核融合反応を誘発し莫大なエネルギーを放出させる」

Wikipedia 水爆

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E7%88%86%E5%BC%BE

 <追記>

 過去の北朝鮮の核実験の「震源」の深さを調べてみました。2009年5月25日の北朝鮮、第二回目の核実験の「震源」の深さは以下の通りです。

米国地質研究所(USGS)
震源:北緯 41.306 度、東経 129.029 度、深さ 10 キロ

日本気象庁
震源:北緯 41 度、東経 129 度、深さは非常に浅い(0 5 キロ)

ロシア・ユジノサハリンスク地震観測所(インタファクス通信)
震源:北緯 41 3 度、東経 129 度、深さ約 10 キロ

CTBTO
震源:北緯 41 2838 度、東経 129.0740 度、深さ 0 1 キロ

韓国気象庁
震源:北緯 41 28 度、東経 129 13

【出典】5月25日の北朝鮮における事象に関する地震波のとりあえずの解析結果  日本国際問題研究所 軍縮・核不拡散促進センター  2009年5月

http://www.cpdnp.jp/pdf/002-04-001.pdf

   すなわち、2017年9月3日12:29(日本時間)行われた、北朝鮮第六回目の核実験は、米国地質研究所(USGS)が、速報で「震源」の深さ10kmとしたのを、訂正し0kmとしたことは単なる数字上の問題ではなく、極めて地表に近いところで、行われた核実験であることを示すものです。

  また、第六回目の核実験から約8分後に、M4.6の地震が同場所で観測されており、地下で行われた核実験であっても、その上の岩盤が崩落した可能性をBBCは指摘しています。核弾頭がウラン弾薬なのか、プルトニウムなのか、を知られたくない過去の北朝鮮の核実験では、その証拠となる放射性物質(キセノン133、キセノン131m)を地下の核実験場に封じこめる必要があったのに対し、今回の水爆実験では、世界に水爆実験が成功したことを知らしめるために、わざと放射性物質が放出させたのではないか、という推測をBBCは伝えています。 

【解説】核実験場の「トンネル崩落」に手がかりか 北朝鮮核実験
BBC News Japan  2017年09月4日

http://www.bbc.com/japanese/41144243

  今回の北朝鮮の第六回目の核実験では、放射性物質が大量に放出された危険性が高いです。考えられる限りの防御を。

 内部被ばくを考える市民研究会

                              川根眞也

 

北朝鮮で強い揺れ、「水爆実験に完全成功」と国営テレビ
BBC News Japan 2017年09月3日 16:00pm

北朝鮮北東部・咸鏡北道吉州郡の豊渓里核実験場。フランス宇宙研究所が今年4月13日に撮影した衛星写真。複数の人影や、覆いのかかった資材や備品と思われるものを図示

北朝鮮北東部で日本時間3日午後0時29分ごろ、大きい揺れが観測され、6回目の核実験を実施した可能性が指摘されている。北朝鮮の国営テレビは同午後3時半、「水爆実験を成功させた」と発表した。
朝鮮中央テレビは「重大報道」として、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載のため、水爆実験に完全成功した」と発表。「前例のないほど強力な爆弾」による実験で、核物質などの外部流出はなかったと説明した。また最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長が核実験の命令書に署名しているように見える映像を放送した。
韓国政府などは咸鏡北道吉州郡で大きな揺れを観測。同郡には豊渓里核実験場がある。韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が核実験を実施したと「推定される」と発表した。

米地質調査所(USGS)によると、揺れの規模はマグニチュード(M)6.3で、震源の深さは0キロ。「爆発の可能性がある」と説明した。USGSは当初はM5.6で震源の深さは10キロと速報していたが、間もなく修正。もし確認されれば、北朝鮮による過去最大規模の核実験となる。
中国地震局は「爆発の疑い」と説明。さらに最初の揺れの直後に、M4.6の揺れも観測したと発表した。
日本の河野太郎外相は同日午後2時すぎ、分析の結果、北朝鮮が核実験を行ったと日本政府として断定したと明らかにした。国家安全保障会議(NSC)出席後に記者団に話した。安倍晋三首相はこれに先駆けて、「もし北朝鮮が核実験を強行したとすれば、断じて容認できず、強く抗議をしなければならない」と官邸で記者団に話した。
日本の気象庁は、通常の地震の波形とは異なる揺れを1回、観測したと発表。深さは0キロ、揺れの規模は推定M6.1という。
ロシア東部ウラジオストクの住民も、揺れを感じたとツイッターで書いている。
北朝鮮による前回の核実験は2016年9月。その際の揺れの規模はM5.3だった。それ以前の実験は2016年1月で、揺れの規模はM5.1。2013年2月の揺れはM5.1、2009年5月はM4.7、2006年10月はM4.3だった。
米シンクタンク、ランド研究所の防衛アナリスト、ブルース・ベネット氏はBBCに対して、揺れの規模は大きい意味合いをもつと指摘。「もし本当にM6.3だとなれば、それは非常に大きい武器だ。これまでのものよりずっと大きい。まだ本当の水素爆弾ではないが、北朝鮮がこれまでやってきたことと比べて、大きく(水爆に)近づいた」と述べた。
ベネット氏は、豊渓里に近い「国境の反対側にいる中国の人たちは、紛れもなくひどい揺れを感じたはず」で、今回の爆発の規模は中国にとっても懸念材料になるはずだと話した。

KCNAは3日、金委員長が「新しいICBMに搭載される水爆を観察」と伝えた
北東部での強い揺れより先に、北朝鮮国営・朝鮮中央通信(KCNA)は同日、新型水素爆弾の開発に成功し、金委員長が「「核兵器化への作業を指導した」と、爆弾のような物体と写る金氏の写真と共に伝えた。KCNAは、水爆は弾道ミサイルに搭載可能と伝えたが、内容の真偽は未確認。
KCNAは、「より高度な核兵器の開発に最近成功した」と伝え、金委員長が「新しいICBM(大陸間弾道ミサイル)に搭載される水爆を観察した」と説明。爆弾については、「高い高度でも爆発させられる、非常に大きな破壊力の多機能熱核兵器」と書いている。
各国の核兵器専門家たちは、北朝鮮の核兵器能力は前進しているものの、ミサイル搭載が可能なほど核弾頭の小型化に成功したかどうかは不明だとみている。水爆開発に成功したという北朝鮮の主張についても、疑問視されている。
(英語記事 North Korea: Tremor detected in sign of possible nuclear test)

 

北朝鮮地震 発生時間とマグニチュードを変更=韓国気象庁
朝鮮日報  日本語版  2017/09/03 15:16

【ソウル聯合ニュース】韓国気象庁の国家地震火山総合状況室は3日、同日午後0時29分に北朝鮮の核実験場がある北東部の咸鏡北道・吉州郡豊渓里でマグニチュード(M)5.7の地震が発生したと発表した。人工地震としており、震源の位置は北緯41.3度、東経129.08度で、震源の深さは0キロ。

 気象庁は当初、地震発生時間を0時36分、Mを5.6と発表していたが、分析を進めて変更した。

 気象庁関係者は「人工地震は波形がS波よりP波がはるかに大きいが、今回の地震はそのような特徴を見せている」として、「過去に核実験を実施した地域とも一致する」と説明した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

 

爆発威力で北実験場の山肌陥没、2度目の地震か
読売新聞 2017年9/3(日) 22:48配信

 【北京=中川孝之】中国地震局は3日、北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)付近で核実験がもたらしたとみられる地震が観測されてから8分後、ほぼ同じ場所でマグニチュード4・6の地震が観測されたとウェブサイトで明らかにした。

 2度とも「震源」の深さは0キロ・メートルとし、「地盤の陥没」と表示。東京工業大の沢田哲生助教(原子核工学)は「爆発の威力で実験場の山肌が陥没し、2度目の地震が起きたのでは」と推測する。

 中朝国境沿いでも広範囲で地震が起きた。豊渓里から約200キロ・メートル離れた中国吉林省延吉の40歳代の男性は電話取材に「昼食中にテーブルが10秒近く揺れた。いいかげんにしろと金正恩(朝鮮労働党委員長)に言いたい」と憤った。市内の百貨店では買い物客の避難騒ぎも起きたという。

 中国の国家核安全局は、地震発生から約15分後に中朝国境で大気や地下水の検査を開始。中国では核実験のたびに安全を懸念する国民から「北朝鮮を放置している」と政府批判の声が上がり、中国が核実験に反対する理由にもなっている。

【解説】核実験場の「トンネル崩落」に手がかりか 北朝鮮核実験

BBC News Japan  2017年09月4日

http://www.bbc.com/japanese/41144243

米地質調査所(USGS)は揺れが、北朝鮮の豊渓里核実験場の近くで起きたと発表
北朝鮮は6回目の核実験を「完全な成功」と自賛した。観測された揺れの形はこれまでで最大規模の爆発だったと示しているが、直後に実験場のトンネルが崩落した様子で、これは北朝鮮の核開発の進捗状況を知る貴重な手がかりとなるかもしれない。ミドルベリー国際大学院モントレー校核拡散防止研究所の研究者、キャサリン・ディル氏が解説する。
米国と中国による観測は、北朝鮮の実験による揺れがマグニチュード(M)6.3の規模だったと示している。このためすでに、北朝鮮による核実験としては過去最大のものだということは分かっている。
このマグニチュードはざっと言えば、熱核兵器が放出するエネルギー量範囲の下限に近い。つまり第2世代の核兵器で、一つの爆弾が次の爆弾を起爆させより大きい爆発を作り出すという2段階方式のものだ。

どのような設計の核兵器を使った実験かはまだ明らかではないが、揺れの特徴からして、今回の実験の出力は以前の実験による規模より対数的に大きい。
今回の実験の規模は100~150キロトン級だという試算もある。比較対象とするなら、広島に投下された原爆は、約15キロトンだった。北朝鮮による2016年9月の前回実験は、10~30キロトンだったと推定されている。
こうした試算ができるのは、実験に使われた核兵器の出力、つまり爆弾の威力を、揺れの規模から計算する数式が作られているからだ。
しかし爆弾の破壊力を知るには、実験場の地理条件やトンネルの深さも関係する。そのすべての情報は得られていないそれだけに、実験の出力情報はいずれも予備的なものに過ぎないのだ。
ならば今回の実験からほかに何が分かるのだろう。実験場でどうやらトンネルが崩落したらしいという情報が、ここで非常に役立つかもしれない。
そのほかには、核実験によって大気中にされる放射性核種の構成を観測するという方法もある。過去の実験では、実験に使われたトンネルはしっかり密閉されていたため、こうした物質の放出はなく、ここ数年は分析できるものがあまり得られなかった。
しかし今回の爆発は規模が大きく、実験場のトンネルが一部崩落したらしい。米地質調査所(USGS)は、実験から約8分後に2度目の揺れを観測している。USGSも中国地震局も、この2度目の揺れはトンネルの崩落によるものだろうと分析している。
なぜトンネルが崩れたのか? 今回ほどの大爆発に耐えられるほど堅牢に作っていなかった可能性がある。あるいは、わざと崩落させたのかもしれない。つまり放射性核種をわざと放出させることで、これは本物の核実験だったのだと世界に知らしめるために。そうだとすると、これは深刻で本格的な前進を意味するが、判断するにはまだ時期尚早だ。

核実験の数時間前、国営朝鮮中央通信(KCNA)は金委員長が「新しいICBMに搭載される水爆を観察」と伝えた
しかし実験場の山の下で何が起きたのか判断するため、爆発分析の手がかりとなる情報が、トンネル崩落によっておそらく得られるだろう。包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の観測所が放射性核種を観測し、情報を分析するには、数週間、あるいは数カ月かかる。
そうして得られた情報から、核弾頭の構成が判明するかもしれない。つまりどういう種類の核分裂物質がどれくらい使われていたのか。プルトニウムなのか、高濃縮ウランなのか。北朝鮮はどちらも製造しているし、両方を使う能力をもつ。
揺れの特徴だけから、北朝鮮の6回目の核実験が熱核兵器だったと断定することはできない。しかし現時点で、それはあり得る可能性のようだ。
この進展の度合いは意外ではないが、これほど大規模な実験だったことは、現状がいかに深刻なものか、あからさまに裏付ける。韓国政府の専門家たちは、今回の実験はこれまでの5~6倍の威力だったと指摘している。
では北朝鮮にとって、次の一手はなにか。これから何がどうできるのか。それは米国の反応によるという部分もある。
今回実験したばかりの核弾頭を実際に大陸間弾道ミサイル(ICBM)に載せて飛ばすことができるのだと、実際に証明してみせなくてはと北朝鮮が考えたりしないか、そう心配するアナリストたちもいる。実弾発射実験や、あるいは大気圏内核実験さえ、やろうとするのではないかとも。初期の核兵器は、部分的核実験禁止条約で禁止されるまで、大気圏内で実験されていたのだ。これは実験という枠内での、最も挑発的な行為となる。
今回の核実験のタイミングに、政治的な意味があったのかどうかは断定できない。米韓軍事合同演習は終わったばかりだ。北朝鮮は年内の実験を以前から示唆していたし、具体的なタイミングは政治的というよりは技術的な理由によるものかもしれない。
実験から有意義な技術的情報を入手し、将来的に確実にうまく機能すると自信が持てるよう、核弾頭に調整を重ねていくのは間違いない。

北朝鮮によるこれまでの核実験とそれによる揺れのマグニチュード比較。今年9月、2016年9月と1月、2013年2月、2009年5月、2006年10月
事件後の公式発表で北朝鮮政府は、最高指導者の金正恩氏が前日に視察した2段階式水素(熱核)爆弾の実験が完全に成功したと主張した。
実験に使われた装置が正確にどのようなものなのか、慎重な専門家は今後も議論を続けるはずだ。それでも、北朝鮮には核兵器開発計画などないと主張し続けるのは、もはや難しい。
(英語記事 North Korea nuclear test: ‘Tunnel collapse’ may provide clues)