[訂正とおわび]

 2015年12月2日の記事では、先行検査112名。本格検査と合わせ151名、と書きましたが、正しくは先行検査113名。本格検査と合わせ152名でした。これは川根が公表された文書pdfの資料から判断したために、起きた誤認でした。実際には、2015年11月30日の第21回県民健康調査検討委員会の席上で、福島県立医大 大津留晶教授は「前回(2015年8月31日開催、第20回県民健康調査検討委員会)の確定版が出た後も、一部、先行検査の結果が出るかたがいらっしゃいました。(新たに)悪性ないし悪性疑いの二次検査結果が出た方が1人、また手術の実施件数も2人増えました。増えた2人に関し術後の病理診断では乳頭がんということでした。」と口頭で発表しました。

Our Planet TV  『甲状腺がん悪性・悪性疑い152人〜福島県民健康調査』2015年11月30日 動画 23’24~24’48

 2015年11月30日、第21回福島県 県民健康調査検討委員会が開かれ、福島の子どもたちの小児甲状腺がんが152名にものぼることが発表されました。しかし、この発表は本格検査(2巡目。2014年4月2日から実施。2015年9月30日現在)のみであり、意図的に、先行検査(1巡目。2011年度浜通り。2012年度中通り。2013年度いわき、会津など)で見つかり、手術を受けている113名の子どもたちの小児甲状腺がんのことを意図的に無視しました。

 福島県のホームページの県民健康調査課では、先行検査【確定版】のpdfが掲載されているページにつながっている、新着情報の(2015年8月分)が削除されています。

 新聞記者もこの前回、第20回県民健康調査検討委員会での、先行検査と本格検査について資料pdfが見つからなかったのでしょうか、意味不明な記事ばかりになっています。一番、真実に近い報道をしているのが、福島民報2015年12月1日です。先行検査では、37万人の子どもたちから113名の小児甲状腺がんが見つかり、2巡目にあたる本格検査では38万人の子どもたちから39名の小児甲状腺がんが見つかっています。(先行検査で良性結節であった1名は除く)それぞれ100名、19名の子どもが手術を受けているのです。

 本来は、151名の子どもの小児甲状腺がんとすべきところを、他の新聞各紙は、本格検査(2巡目)で見つかった39名の小児甲状腺がんだけの、特に新たに手術を終えた9名の子どもたちだけに焦点をあてた報道ばかりです。福島で異常に多発する小児甲状腺がんの問題を問う報道が皆無です。先行検査と本格検査を両方合わせて報道したのは、福島民報と朝日新聞だけだと思います。

 読売新聞は、第21回県民健康調査検討委員会の本格検査での小児甲状腺がん39名ですら、まったく報道しませんでした。

 

 そして、2015年11月30日の第21回県民健康調査検討委員会の本格検査での小児甲状腺がんの資料pdfをたんねんに以前の第20回の資料pdfと比べると、驚くべきことに、そもそもこの統計データが改ざんされたものである可能性が浮かび上がってきました。この2巡目の本格検査は、原発事故当時0~18歳であった子どもたち、および、原発事故後2011年4月2日から2012年4月1日に生まれた子どもを対象にしています。なんと2015年8月31日の第20回の発表から、今回の11月30日の発表で、対象者が100人も増えた市町があるのです。

 第20回は2015年6月30日現在で、第21回は2015年9月30日現在ですから、検査を終えた人数が増えるならいざしらず、検査対象の人数が大幅に増えることはありえません。また、資料pdfの1番最初の1 川俣町や注目度の高い、3 南相馬市、4 飯舘村は、検査対象の人数は同じです。資料pdfの最後の53 磐梯町、54 北塩原町、55 会津美里町、56 会津坂下町、57 柳津町、58 会津若松市、59 湯川町の検査対象人数も同じです。

 つまり、目につきやすいところ、注目度の高い市町の数値がいじらず、目立たないところの、検査対象人数をいじり、意図的に発症率の改ざんを狙ったことがうかがわれます。

<検査対象が第20回の発表から第21回の発表で増えた市町>

本格検査(2015年6月30日現在)から本格検査(2015年9月30日現在)

浪江町の対象者が3,771から3,772へと1人増えている。

福島市の対象者が55,732から55,734へと2人増えている。

二本松市の対象者が10,596から10,597へと1人増えている。

本宮市の対象者が6,342から6,343へと1人増えている。

郡山市の対象者が66,746から66,751へと4人増えている。

桑折町の対象者が2,136から2,137へと1人増えている。

白川市の対象者が12,670から12,674へと4人増えている。

いわき市の対象者が64,237から64,285へと48人増えている。

須賀川市の対象者が15,874から15,877へと3人増えている。

相馬市の対象者が7,083から7,086へと3人増えている。

鏡石町の対象者が2,704から2,705へと1人増えている。

新地町の対象者が1,475から1,476へと1人増えている。

中島村の対象者が1,079から1,115へと36人増えている。

矢吹町の対象者が3,277から3,419へと142人増えている。

石川町の対象者が2,848から2,951へと103人増えている。

矢祭町の対象者が1,010から1,055へと45人増えている。

浅川町の対象者が1,340から1,392へと52人増えている。

平田町の対象者が1,210から1,270へと60人増えている。

棚倉町の対象者が2,989から3,085へと96人増えている。

塙町の対象者が1,664から1,716へと52人増えている。

鮫川町の対象者が694から723へと29人増えている。

小野町の対象者が1,937から1,986へと49人増えている。

二本松市の対象者が10,596から10,597へと1人増えている。

玉川村の対象者が1,333から1,370へと37人増えている。

古殿町の対象者が1,040から1,078へと38人増えている。

南会津町の対象者が2,912から2,913へと1人増えている。 

喜多方市の対象者が8,911から9,235へと324人増えている。

西会津町の対象者が1,019から1,054へと35人増えている。

只見町の対象者が733から735へと2人増えている。

猪苗代町の対象者が2,754から2,757へと2人増えている。 

<検査対象が第20回の発表から第21回の発表で同じで変わらなかった市町村>

本格検査(2015年6月30日現在)から本格検査(2015年9月30日現在)で、対象者数が全く同じであった市町村は、1 川俣町、3 飯舘村、4 南相馬市、5 伊達市、6 田村市、7 広野町、8 楢葉町、9 富岡町、10 川内村、11 大熊町、12 双葉町、13 葛尾村、17 大玉村、20 国見町、21 天栄村、23 西郷村、24 泉崎村、25 三春町、43 檜枝岐村、45 金山町、47 三島町、48 下郷町、53 磐梯町、54 北塩原町、55 会津美里町、56 会津坂下町、57 柳津町、58 会津若松市、59 湯川町です。

  また、先行検査を意図的に無視する姿勢は、本格検査でもほぼ同じ発症率だからではないでしょうか?先行検査と本格検査、その2つの合計したものを比べると以下のようになります。

2011年度先行検査 市町村(浜通り、大熊町、双葉町、川俣町など)

先行検査 小児甲状腺がん 14名

本格検査 小児甲状腺がん 15名(一次検査受診率 66.6%)

合計   小児甲状腺がん 29名

2012年度先行検査 市町村(中通り、福島市、郡山市、二本松市など)

先行検査 小児甲状腺がん 56名

本格検査 小児甲状腺がん 23名(一次検査受診率 71.7%)

合計   小児甲状腺がん 79名

2013年度先行検査 市町村(いわき市、会津地方など)

先行検査 小児甲状腺がん 42名

本格検査 小児甲状腺がん   1名(一次検査受診率 28.7%)

合計   小児甲状腺がん 43名

  これでも、福島県立医大や、福島県県民健康調査検討委員会座長の 星北斗氏は「放射線の影響でおきたがんとは考えにくい」と強弁しています。

 子ども、妊婦をはじめ住民を高放射能汚染地帯に住まわせる続けることは被ばくによる、甲状腺がんの発症リスクを高めることになります。少なくとも、本格検査で小児甲状腺がんの子どもたちが出た地域からは住民を避難させるべきです。

2015年9月30日現在 各市町村の小児甲状腺がん(本格検査)

2            浪江町    2名

4            南相馬市  3名

5            伊達市    7名

6            田村市    2名

11          大熊町    1名

14          福島市    8名

15          二本松市     1名

16          本宮市    2名

18          郡山市    10名

19          桑折町    1名

22          白河市    1名

26          いわき市   1名

 以下のpdf資料をご覧ください。14福島市。2015年9月30日で「悪性および悪性うたがい」、つまり甲状腺がんにかかった子どもは8人。3月31日現在では6人でした。つまり、2014年4月からの1年で6人、2015年4~9月の半年で2人の小児甲状腺がんの子どもが見つかった、ということです。年間では6人または4人が発症したということです。平均では年5人になります。福島市の対象者(原発事故当時0~18歳の子ども)は約5万5000人です。つまり、10万人当たりに直せば、5人の2倍、年間10人(10万人あたり)の発症率。これはチェルノブイリの高い放射能汚染地帯である、ベラルーシのゴメリ州の爆発的な発症率、年間11人(10万人あたり)に匹敵する発症率です。高能汚染地帯からの子どもたち、妊婦を始めとする住民の避難を行うべきです。

 pdf版 解説つき 福島県 子どもたちの甲状腺超音波検査結果と穿刺細胞診 20151130 改訂版20151204