旧科学技術庁、現文部科学省が毎年、環境放射能調査研究 成果論文抄録集を発表しています。そこにその年の全国の水田土壌の放射能汚染と玄米や白米の汚染状況が報告されています。2009年度および1989年度の環境放射能調査研究 成果論文抄録集に掲載されていたデータを川根が抜き出し、表にしたものが以下です。
2009年度では水田土壌はストロンチウム90に0.02ベクレル/kg(福岡県筑紫野)~1.6ベクレル/kg(新潟県上越)汚染されていました。セシウム137には1.9ベクレル/kg(山梨県甲斐)~14.9ベクレル/kg(新潟県上越)汚染されていました。
そのため、2009年の白米はストロンチウム90に0.004ベクレル/kg(岩手県盛岡のあきたこまち)~0.018ベクレル/kg(秋田県秋田市のあきたこまち)に汚染されていました。また、セシウム137にはND~0.063ベクレル/kg(福岡県筑紫野のコシヒカリ)汚染されていました。重要なのは、2009年の日本の白米ではセシウム137が0.1を超えるものはなかったということです。
1989年度では、その水田土壌の汚染度は高く(残念ながらこの上記成果論文にはストロンチウム90のデータは記載されていませんでした)、セシウム137で8.2ベクレル/kg(北海道札幌)~44.2ベクレル/kg(新潟県上越)汚染されていました。
そのため、1989年の玄米はセシウム137に0.006ベクレル/kg(岡山県山陽)~0.400(岩手県盛岡)汚染されていました。つまり、2009年の20年前には玄米でセシウム137が0.1ベクレル/kgを超えるものが流通していた、ということです。これは大気圏内核実験の影響がまだ残っていたことに加え、1986年のチェルノブイリ原発事故による放射性降下物の影響であると考えられます。
1989年のストロンチウム90の汚染データでは、同 成果論文抄録集の秋田県における放射能調査(p.144~148)ではストロンチウム 土壌53ベクレル/kg、精米0.08ベクレル/kg、埼玉県における放射能調査(p.165~167)土壌2.51ベクレル/kg、精米0.015ベクレル/kg、島根県における放射能調査(p.230~233)土壌1.4~13ベクレル/kg、精米0.0416ベクレル/kg、と書かれたデータもありました。
第51回環境放射能調査研究 成果論文抄録集 平成21年度 文科省
第31回環境放射能調査研究 成果論文抄録集 昭和63年度 科学技術庁