2012年3月11日のメッセージの和訳(原文は英文)
3月11日。それは、2011年3月11日の日本の三天災によって失われた命を、そして日本の人たち、農業、環境、そして経済に及んだ引き続く(継続している)不利な影響を思い、頭を下げる日。犠牲になった方々と被災された方々の果たされなかった夢、希望、そして数々の楽しいひと時に思いをはせます。
一年前、災害のあと、私の指導教官から、日本についてのコメントを受け取りました。先生は、カナダにいるかつての自分の学生が送ってくれた内容が気に入ったということで、私宛に転送してくださったのでした。
<日本から学ぶべき10の事柄>
1.冷静さ
胸をたたいたり、壮絶に悲嘆にくれたりといった様子が全くない。悲しみそのものが昇華されている。
2.尊厳
水や日用品のために整然と並んでいる。荒い言葉やぶっきらぼうな身振りなしで。
3.能力
信じられない建築物。建物は揺れたけれども崩れなかった。
4.礼儀
各人が物品を手に入れることができるよう、皆が現時点で必要な物のみを購入。
5.秩序
店舗での盗難がない。路上でもホーンを鳴らしたり、追い抜き運転をしたりしない。まさしく理解があるということ。
6.犠牲
原子力発電所に海水を注入するために50名の作業員が残った。彼らは一体どのように償われるのだろうか。
7.思いやり
レストランは値段を下げる。警備なしのATMはそのまま。力のある者が弱い者を助ける。
8.訓練
お年寄りの方たち、子供たち、だれもが何をなすべきかをきちんと知っており、そのとおりにしたのであった。
9.メディア
報道は大いに抑制を行った。扇動的なものはなかった。冷静な報道のみ。
10.良心
店で電力が消えた時、人々は棚に物を戻して、静かに立ち去った。
2011年3月28日の私から先生への返信:
今回の災害は、多くの人たちの雇用に影響を及ぼし、多くの産業・雇用において、解雇や労賃・契約期間の低下・減少が常態化しています。津波警報を近隣の人たちに知らせたり、周囲で行方不明になった人々を探したり、残された人たちを連れ戻す手助けをしたり、ひたすら他の人たちを助けるために最後まで働き続けたりすることによって、自分の命を犠牲にした数多くの無名の勇気ある人々がいました。
もし、先生の生徒さんが日本から学ぶべき10点の事柄があるというのなら、私はこのような返事をしたいと思います。
<2011年3月の災害後、日本が行うべき10の事柄>
1.原子力発電所を停止すること
2.それに応じて私たちの生活様式を変えて、私たちの限界を知ること
3.もしある事業がある地域において実施される場合、地元住民の命が危険にさらされる可能性がありうる際には、国民投票を主張すること
4.大都会を分散化させること
5.小規模都市を活性化させること
6.人々が在宅で、あるいは自宅の近くで勤務できるシステムを創出すること
7.一般の人々が関与できるような代替テクノロジーを推奨すること
8.緊急援助および復興システムを包括的に見直すこと
9.災害時において、国際的専門知識や資源をタイムリーに活用すること
10.謙虚になり、私たちの過ちからまなぶこと
日本は、高い生産性とテクノロジーを持つ国です。しかし、その背後には、家族生活を犠牲にして、長時間オフィスや学校、大学などに通い、私たちの人生の貴重な年月を投資して、何時間も何時間も働いている多くの人々がいます。こうした多くの人々が、完全に取り残されてしまっています。そうした人々の中には、定年間近な人々、あるいは自分の人生そのものからも引退する瀬戸際にある人々もたくさんいます。
私たちの政府と指導者たちが健全な思想を持ち、人々の安全を第一に考えてくれるようにと、切に願うばかりです。
私たちは大きな危機を迎えています。
これは人類の歴史における危機でもあります。
しかし、私たちの悲劇によって、インドも含め、他の国々の人たちが自国の政府に対し政策の見直しを要求することを促すようになればと思います。
生徒さんからのインプットをシェアしてくださったことに対して、本当に感謝します。
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私は、自分がこの地球に在り、自分の人生のひとときを親しい人たちとともに過ごしている、という事実に感謝しています。そして、甚大な損失を通じ、確かな拠りどころのある人間関係の美しさとその意味を、そして人生で既に授かったものの価値を、実感しています。
川根 友