クロソイ 出荷自粛へ

2019年6月4日 21時10分  NHK 福島放送局

福島第一原発から20キロ圏内の海域で、東京電力が行っている魚介類の調査で、先月28日に採取されたクロソイという魚から、県漁連が設けた自主基準を超える放射性物質が検出され、安全が確認できるまでの間、クロソイの出荷を自粛することになりました。

東京電力によりますと、2019年5月28日、福島第一原発から10キロほどの富岡町の沖合で採取されたクロソイ3匹を混ぜて測定したところ、セシウム134と137の合計値で、1キロあたり101.7ベクレルが検出されたということです。
厚生労働省によりますと、この場合1の位を四捨五入するため、国の食品の基準の1キロあたり100ベクレルと同じになり、基準を超えたことにはならないということです。
一方で、福島県漁連がより厳しく定めている1キロあたり50ベクレルの自主基準は上回り、県漁連は当面の間、クロソイを試験的な漁の対象から外して安全性が確認されるまで、出荷を自粛するとしています。
県漁連によりますと、クロソイはおととし1月に安全性が確認されて国の出荷制限が解除され、試験的な漁が行われてきましたが、その後、自主基準を上回るのは初めてだということです。

[解説]

以下の記事は、福島の海がクロソイが100ベクレル/kg超えになるくらい、放射能汚染されていることの反映ではないでしょうか?

福島県沖…コウナゴの水揚げ『ゼロ』 来年も続けば死活問題に

2019年6月6日 福島民友
 
 

 春を告げる魚として知られるコウナゴの群れが本県沖で見つからず、水揚げがないまま5月末で今季の漁が終了した。県水産海洋研究センターによると、東日本大震災後の自粛期間を除けば、記録が残るここ30年で初めて。震災後の本県漁業を支えてきた主力魚種の一つのため影響は甚大。漁業関係者は「来年以降も不漁が続けば、漁業復興に大きな影響が出る」と危機感を募らせる。

 本県沖はコウナゴの有数の産地で、例年3月から5月が漁期。昨年の水揚げ量は震災前の半数以上となる1076トンまで回復していた。しかし、今年は漁期前の調査からコウナゴの群れが見つからず、漁師が魚群探知機で群れを探してきたが、相馬、いわき市の両漁協ともにシーズン終了まで水揚げはできなかった。

 昨年は5億円超

 特にコウナゴを多く漁獲する相馬双葉漁協では2013(平成25)年にコウナゴの試験操業を開始。他県の主力産地の不漁を受けて築地市場などで高値で取引され、昨年の水揚げ高は5億円を超えていたが、今年はその売り上げが消えることになった。

 相馬双葉漁協コウナゴ試験操業委員長で漁師の立谷義則さん(54)は、「コウナゴを水揚げできなかったのは初めて」とため息をもらす。小型船の漁師らはヒラメやカレイなどの水揚げを増やしてきたが、「来年以降も不漁が続くかどうかは死活問題。原因を突き止めてほしい」と訴える。

 水温上昇原因か

 県水産海洋研究センターでは、不漁の原因に海水温の上昇の可能性を挙げる。1~3月の本県沖の水温は例年より高く、15度近い高水温になると県の行った調査でコウナゴが採取されていない。ただ、海水温や海流以外の影響も考えられるという。

 県では7月以降にコウナゴの親の「メロウド」の分布などを調べる方針で、調査方法を検討している。

 加工により利益の上がるコウナゴの不漁は、漁師だけでなく本県の仲卸業者や小売業者にも大きな影響を与える。相馬市磯部の直売所を運営する同市磯部地区水産物流通加工業協同組合理事長の島寿雄さん(53)では、北海道や岩手から仕入れを行ったが数も少なく、「地元産のコウナゴを求める問い合わせも多くあった」と話す。

 同市の水産卸売業相馬魚類取締役の加藤修一郎さん(35)は「本県漁業への大きなダメージ。安定的に漁獲されないとなると、水揚げがあっても全国の量販店の仕入れから外される可能性がある」と不安を口にした。